妄想吐き出す、ただそれだけ。
彼の綺麗な黒髪が窓から入る風に少し靡く。
瞳の奥で何かを思って、遠くを見ている。その目線の先はいつもと同じ、彼女へと向いていた。
「百さー、いい加減久々知くんに告白とかしないのー?」
「そうそう!折角隣になったのにー!関わりも多いんだから今の内に告っちゃいなさいよ!」
1年生の時から友達の、雛ちゃんと莉子ちゃんと何時もの場所(屋上)でお昼ご飯をしながら、ガールズトークをしていた。
まあ当然私の話にもなるわけで、その話題に入るとふたりは少し呆れ果てた顔で問いかけてきた。
「そんな事言われちゃっても…久々知くんとは隣の席になってからも、話してないし…」
「「はぁっ!?」」
私は卵焼きを口に運んでもぐもぐと食べたあと、事実を伝えた。
ふたりは2年生になってクラスがバラバラになったのでわからないが、これは本当なのだ。
私は教師を恐れているため忘れ物をしないし、久々知くんもそんなアホみたいなミスもしないから全くそういう話にもならないし、ペアで何かをするというのもしていない。
ふたりして驚いた顔をしては、どういうこと!なんてまた質問してくるものだからまたありのままの事実を伝えた。
「私は、もう百は久々知くんと普通に会話できてるものかと思って……」
「ほんとそうよー!百の意気地無しー!入学式の頃から片想いしてるのにー!」
「ちょっちょっと!ふたりとも、声おっきい!」
ふたりはわんわんと泣く振りをしながら大声で言ってくる。泣きたいのはこっちだようと言いそうになったけど、取り敢えず慌てながらふたりを止めた。
「取り敢えずふたりとも、早く食べないと昼休み終わっちゃうよ?」
「それ先に言ってー!」
なんて私の話題はどこへやら、それからは他愛のない話をして、屋上を後にした。
「次の教科は…っと、数学かぁ」
連絡板で今日の予定を見て、5時限目の教科を確認して鞄から教科書ノートを引っ張り出す。
そして机に置いて、ふと時計を見るとまだ時間がある。このままぼーっとして時間を潰すのもなんだから、私は机の中から本を引っ張り出し、目の前に広げた
…筈だった。
「…とーのはらさん、やっほー」
「…あ、え、あっと…あ、おは、まくん」
目の前にはニコニコと男なのに可愛らしい笑みを浮かべながら奇妙な髪を揺らしながら、私の本を持って声をかけてきた。
私はかなり戸惑いがちになりながらも、一応返してみた。すると尾浜くんは、「名前覚えてくれてたんだ!」なんてまんまるな目をもっと丸くした。
「あの、本…」
「ああ、ごめんごめん、塔之原さん暇そうにみえたから…ごめんね、はい」
「あ、だいじょ、ぶだよ…ありがとう」
周囲がこれだけ騒いでいて、1人だけ浮いた感じな女の子に声をかける人なんて普通いない。
ましてや尾浜くんは人気者で、クラスの中心人物だ。そんな人が私に声をかけてきてくれるなんて
…読書の邪魔はしてくれたがちょっと嬉しくて、顔が綻ぶ。
「あ、塔之原さん笑ったー」
「へっ、あ、…すみません」
「なんで謝るのさあ!」
一瞬驚いた顔をした尾浜くんに謝ると、今度はケラケラと笑いながら指さしてくる。
そして尾浜くんが何かいいたげにしていたところで、チャイムがタイミングよくなる。
それじゃあ、と手を振って自分の席に尾浜くんが帰っていった。案外近いじゃないか、びっくりだよ…
ネタ切れ。
人魚姫夢主と王子様な兵助君の話。
「君を1日だけ人間にしてあげる」
魔女にそう言われて人間になる魔法をかけられた夢主!
でもその代償としてなのか自分の声を奪われてしまう!どうする!
そんな中、国の王子様が浜辺に寄ってきて何故か拾ってくれることに!どうなる、夢主!
「 兵助くんは、豆腐王子! 」
とにかく豆腐が大好きな兵助くんと愉快な仲間たちと夢主(?)
「あなたへの恋心も、どうかバレないままで、終わらせて頂戴」
◎竹谷連載。
リーダーシップもあり、人望も厚い竹谷くん。
○ヒロインは存在感が薄。
例えて言うなら数馬。