ども、芹菜と言います。
今回は恋愛(?)っぽい感じです、多分。
>>0002 ☆σ゚・*:.。.スレ主より.。.:*・゚σ☆
>>0003 ☆σ゚・*:.。.登場人物紹介。.:*・゚σ☆
2.貧乏神との生活
宇宙side
それからというもの、私の私生活は一変し、何とも不可思議なものであった。
私がこいつが人間界に来た理由を聞くと、いきなり天井にピンクの渦が現れ、中から一人の青年が
出てきた。
「向葵、この娘がおまえの取り付く奴か?」
私はびっくりした。
何故って、ピンクの渦は小さいのに、中から出てきた青年は180cm以上ある。
やっぱり榊原は、本当に神なのかもしれない。
「あぁ、そうだよ。紹介する、蒼波宇宙って子。」
榊原は淡々と返した。
「そうか。」
青年も負けないくらいクールに返す。
私の形相が凄かったのか、榊原は慌てて青年の紹介をした。
「こいつ、ホダカっていうんだ。俺が人間界に来るために、色々手助けしてくれた。」
ほう。
.....。
向葵やらホダカやら、カミノセカイは名前が凄い。
2.貧乏神との生活
宇宙side
そして、榊原が何故人間界に来たのかがわかった。
榊原は、家では姿を消し、私との会話も消しているらしい。
それは本当らしく、ママたちは何も感じてない。
それで、榊原が神というのがわかった気がした。
でも迷惑な神で、お小遣いは相変わらず空っぽ。
もう嫌だって、思った事が何回もあった。
でも。
榊原がいなかったら私は、
私としていられなかったかもしれない。
榊原に感謝できる事は沢山ある。
榊原が嫌だと思うところも沢山ある。
けれど、榊原がいてくれたからできることも沢山ある。
感謝しなければならないって、わかってる。
そう感じているのだけれど。
やっぱり言葉にできない。
そりゃあそうだ。
榊原が良い男子だったら話は別だ。
ただどうだろうか、こいつは。
ポリポリといつも菓子を食い荒らすこいつに、感謝など言えるものか。
2.貧乏神との生活
宇宙side
「あぁっ、また零してるし!」
貧乏神・榊原との生活も早2カ月。
完璧に私の家に住み着いた榊原は、またもや菓子を食い荒らす。
『超・激辛!チリソース風味のスナック!』と書かれた赤い袋を手に持ち、榊原はまったりとした口調で
言った。
「これ別に辛くないんだけど。宇宙も食べる?」
はぁ?
「居候してる貧乏神の食べかけ菓子なんて食べたくないし。」
掃除機をビンビン言わせながら部屋中を駆け回る私。
榊原はいつの間にか、私のことを名前で呼ぶようになった、しかも呼び捨てで。
私はもちろん、向葵などと呼ばない。
最初のうちは榊原『君』だったが、今は榊原である。
こんな奴に君など付けるものか。
2.貧乏神との生活
宇宙side
「っていうか宇宙、明日数学のテストだけど勉強してんの?」
あ。
勉強してない!
「やばいよ.......。私数学苦手なのに。」
勉強は得意な方である。
しかし、数学は苦手な方でテスト赤点は珍しくない。
「俺得意だけど、教えよっか?」
榊原が菓子の袋をゴミ箱に捨て、私を見た。
榊原に教えてもらう。
私のプライドが傷付く。
だが、テストで赤点を取るよりマシだ。
どうしようか。
「.......。じゃあ教えて。」
しょうがない。
教えてもらおう。
「了解。ってか宇宙、そんな恥ずかしがる事じゃないって。」
なんだこいつは!
人の嫌がる事をサラッと口に出すなんて........。
2.貧乏神との生活
宇宙side
デリカシーに欠けすぎているが、とりあえず勉強は教えて貰った。
明日のテストも大丈夫そうである。
なんだかんだ言っても、やっぱり役に立つ。
まぁ、神なんだから多少は役立つものではないと困るが。
「宇宙、明日お互い頑張ろうね!」
榊原がにっこり笑ってくる。
「あ、うん....。勉強教えてくれて、ありがとね。」
何となく、言ってみた。
「ありがとう」って。
明日は、頑張れる気がした。
2.貧乏神との生活
宇宙side
次の日。
数学のテストは予定通り行われ、私の思考も予定通り、パッと頭が冴えた。
一週間後に返ってきたテストは、満点ではなかった。
しかし、苦手だった応用問題も合っており、ホッとした。
榊原はもちろん、満点で、応用問題の考え方まで褒められていた。
「良かったね、宇宙。」
学校からの帰り道。
榊原が横に並びながら言う。
「うん。榊原こそ、満点で良かったじゃん、さすがだね。」
榊原を素直に褒めたのは、これが初めてだった。
夕陽が、燦々と空に散って行く。
私の心もその夕陽のように赤かった。
なんとなく、あったかい気持ちだった。