旅鼠の厭世詩

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1:レミング◆yc:2019/09/13(金) 12:00

思い付いたときに詩を書いていきます。

詩ではなく短文に思えることもあると思いますが、
本人は詩のつもりで書いております。

乱入は可ですが、感想を添えて頂けると幸いです。
また、こちらからの感想はあまり期待しないでください。
何分、自分の意見を述べるのが苦手なもので。

344:レミング◆yc:2023/06/29(木) 02:14

美しい夜に祝杯を
明けないように鍵をかけて
永遠の真似事をしよう

金星を醒ます歌声を
君だけに聴かせてあげる

緞帳を降ろして
カーテンを閉めて
この舞台は僕らだけのもの

拙い演技などやめてしまって
僕は君の小夜曲になりたい

迷える仔羊に暖かな光を
眠れぬ君に甘ったるい闇を

穴兎の白昼夢
恍惚と憂鬱
紛い物の救いをもう一度

星座のパレードを眺めながら
片手間の愛でも語り合おう
どうせこの世界は終わるのだし

神様ぶった僕の仮面を
どうか君だけが撃ち抜いてしまって

345:レミング◆yc:2023/08/05(土) 08:08

あなたがあなたという光であり続ける限り
私の世界はずっと美しいままだ

346:さき:2023/08/24(木) 11:30

『アッブルパイの唄』
 ・おいしいよな
アッブルパイ
大好きなんだよ
美味しいのに
理由なんかないさ
単純に好きなんだよ
大好物さ
甘ずっぱい
カリッコリッの
毎日たべても
あきない
アッブルパイ

347:さき:2023/08/24(木) 11:30

『三つ葉の付箋』
 ・ボクの三つ葉の付箋
 三つ葉の付箋
 ボクのだよ
 すごく大切にしてるんだ
 あの机の上の本に
 挟んでいる
 付箋だよ
 ボクの付箋

348:レミング◆yc:2023/09/14(木) 16:46

>>346 >>347
無邪気な子供のような、可愛らしい詩ですね。
真っ新であどけないようでいてどこかノスタルジーを感じ、ふと子供の頃を懐古してしまいます。

349:レミング◆yc:2023/09/20(水) 01:24

空中ブランコで宙を蹴った

土星が泣いている
君が玩具を取り上げたから

沸き立つ雲は
燃える快晴は
みんな君を責め立てていた

被害者だった
そんなような気がしていた

帰り道には飴を買って
水銀製の蛇口で手を洗おう
ひとり多い遊戯場から目を逸らして

ちゅうぶらりん
インスタントカメラには映せない
焦燥 懐古 狂悦

二度と帰ってこないでね

虹が滲んだ雨上がりは
もう全く煙ってしまっていて
君の顔はわからなかった

青と藍の境目を探そうか
斑模様にピントが合わないうちに

夏と冬の境目を探そうか
飽きが来ないうちに

浮かばれない声が
聞き取れないうちに

350:レミング◆yc:2024/02/20(火) 14:17

貴方だけを見ていてあげる
鍵穴の外側から

孤独な貴方を
惨めな貴方を
大好きな貴方を
亡霊なんかに盗られた貴方を

怨嗟と呪詛が聞こえてくる
鍵穴の向こうから
私はそれを子守唄に
今日も眠りにつこうと思う

貴方は夜な夜な吐き出している
切らなくても擦らなくても
吐き出されるそれは
紛うことなき血の想いだ

飲んであげる
苦くて酸っぱくて
嫌な匂いのするそれを
全部残らず飲みほして
私の喉を焼いてあげる


貴方 私を好きだと言ったのにね
月明かりに夢見てしまったのね
可哀想な人

ねえ
まだ許してあげるから
少しだけ私を見てちょうだいよ
まだそこに戻ってあげるから
みんなみんな忘れてあげるから

ねえ
ねえ……

貴方が死んだら
そうしたらきっと私
貴方のお家に行って
貴方の嫌いな人を
みんな残らず殺してあげる

棺桶に眠る貴方を見て
鼻で笑って
攫ってあげる

空っぽの底に
菊の造花を一輪残して

だからね 今日も見守ってあげる
鍵穴を覗いて
饐えた匂いの箱庭に
たったひとり閉じ込められた貴方を
ずっとずぅっと見ていてあげる

351:レミング◆yc:2024/03/25(月) 06:33

桜の樹の下には

今日に至るまで
何度繰り返された詩だろう

桜の樹の下には死体が埋まっている

憂鬱の彼は考えたのだ
満開の桜があまりに美しいから
それには対価があるに違いないと

桜の樹の下には死体が埋まっている

では、
桜を前にしてなお輝くばかりに美しい
あなたの足元にも
死体が埋まっているのだろうか

桜の樹の下には

あなたが踊るように歩む
全ての道の先にも後にも

死体が埋まっている

それを足蹴にしておきながら
養分を吸いさえしない
あなたの完璧な美しさは
あなたのみで完結する

あなたの下には

淡い花曇りの空の下
咲き誇る幾万の花の下

死体が

色素の薄い虹彩が
全ての輪郭を溶かす

埋まっている

桜の樹の下
その上に立つあなたの足元には

死体が埋まっている

風に乗って運ばれる微かな香りに
満開の桜さえも霞むようなほほえみに

あなたの足元になら
埋まってやってもいいとすら思った

あなたの下に

あなたの

花弁を踏みつける足取りの
なんと軽いことか


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