蛍の光

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1:汐莉:2015/04/07(火) 16:57

―また、来年の夏祭りは、一緒に蛍を見ようね。
約束してた。
大好きだった。
だけどまさか、あんなことになるなんて―。

2:汐莉:2015/04/07(火) 17:44

「蛍!」
自分を呼ぶ声に、あたしはハッと振り返った。
「あ、敬太!」
あたしが大きく手を振ると、敬太は嬉しそうに駆け寄ってくる。
あたし、森野蛍と小田桐啓太は現在交際中です。
学校は違うけれど、学年は同じ高校2年生。
高校は、あたしの方が2ランク上の進学校に行っちゃったけど、大学は絶対同じところに行こうねって約束してる。
「あ、そうだ。あのさ蛍」
「何?」
あたしが目を合わせると、敬太は妙にニコニコしながら言った。
「来年もさ、蛍祭りやるみたいなんだ。いっしょに行けるか?」
うちの町会では、毎年夏祭りの代わりに蛍祭りというのをやる。
町はずれの森へ放した蛍を見ることができるのだ。
あたしは、「もちろん」と答えた。
「敬太と一緒なら、どこでもいいよ。……でも、勉強は大丈夫なの?」
「ハハッ、大丈夫だよ。蛍は何も心配しなくても。よし、じゃあ約束な」
「うん!」
あたしたちは小指を絡ませて、指切りげんまんをした。
敬太はあたしの髪を撫でた後、家まで送ってくれた。

3:汐莉:2015/04/07(火) 18:03

本当に、毎日がとてもキラキラしててすごい幸せ。
だけど、この時から、あたしたちの運命は決まってしまっていたのかもしれない。

翌朝、あたしが学校に行くと、いつもはすぐに話しかけてくれる未知子と茉希が来てくれなかった。
でも、そんなこともあるよね。と思い、自分から二人に話しかけると……。
「行こっ……。茉希」
二人はまるであたしなんかいないような態度で、向こうに行ってしまったのだ。
「未知子……?茉希……?」
一瞬どうしたのかと思ったが、自分が何かしてしまったのかと思い、考えてみるが、それらしいことは思いつかなかった。


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