「ただいまー」
「ん、おかえりー」
いつも通りの日常。
しかし、その日常が今日で終わりを迎えるなど、私はこの時考えてもいなかった…
「…母さん、何、そのDVD。」
「あ、これ?泣けるって噂の良い話よ〜…今日こそ泣かしたげるわ、この糞餓鬼。」
「ハッ、その程度で私を泣かそう、と?私も随分甘く見られたものだな。」
…いや、大して変わらない日常かもしれない。
攻防戦 其の壱 〜泣けると巷で噂のDVDを見せて普段糞生意気な糞餓鬼の泣きっ面を拝んでやろう〜
「さ、早くして!見るわよ、コレを!」
「は?いや今LINEしてんだけど…」
「知るかんなもん。早くしろ。」
「知るかは此方の台詞だっつの。てかそんなもんで泣ける訳ないじゃん…」
「スマホ持ってても良いから見ましょ!」
ふー…何とかDVDを見せる方向に持っていったわよ…
ピローンピローンピローン…
「うっさい!!」
「は!?いや、母さんの方が煩いんだけど!?」
「通知の音消せよ!」
「いーじゃんか別にそんくらい…あ、ホラ始まるよー」
「あら本当。」
25分後
「…ふっ、あはっ…(タタタタッ)…と、送信…ふはっ、何コレ…ふふふ。」
30分も我慢できないのかよ!!
2時間ぐらい我慢しろよ!見ろ!DVDを、見ろよ!!
ったく、花子が死んだっていうのに…(DVDの話)
2時間後
「う…っ、ぐずっ…」
「…何で母さんが泣いてんの…?(ピローン)」
「はっ、花子おおおおおおおお!!」
結論:30分と持たずスマホを弄り出す。
又、母の方がDVDを見て泣き出す。