secret

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1:名無しさん:2015/08/21(金) 11:10

てすと

2:名無しさん hoge:2015/08/21(金) 11:15

夢見心地のようなふわふわした感覚。自分は今歩いている、他者から見ているような気分でそう理解した。思考は不安定で、このまま眠ってしまいたい衝動に駆られながらも私は止まることをしない。辺りは何も見えない真っ暗闇。壁どころか、この空間に終わりが存在しないような錯覚に見舞われる。足元は朧げで、進む足がちゃんと歩けてるのかもどこへ向かっているのかも分からなかったが、それでも一歩一歩着実に進む中で、やがてある光りの一点が見えた。それまでの暗黒を覆すかのような明るい白。極端なその場所に心許なく惹かれ自然と歩みは速まった。それと比例して段々と純白が広がっていき、その眩しさに無意識に目を細める。乾いた吐息が洩れ、此処へ来てから初めて呼吸というものを実感した。吸って吐いての繰り返しに心臓が脈打つのを感じながら正面を向く。もっと、早く、もっと。小走りに急く足がもつれる。
早く。出して。早くここから――。

3:名無しさん hoge:2015/08/21(金) 13:13

光り→光

4:名無しさん hoge:2015/08/21(金) 13:20

「っ、は……!」
白でも黒でもない。瞼が開いて見えたのは、見慣れた薄茶色の天井壁だった。息をつき、上げた片手を額に乗せれば手の甲にじんわりと生暖かい湿気が広がる。肌に張り付く多量の汗を吸ったtシャツが気持ち悪い。思わず身じろぎをすると、身体を支えるベッドが不快音を立てて軋んだ。以前に貰いうけたこの寝台はもうすっかり古く壊れかけていた。今度買い換えようか、などと思ったのは一度や二度ではなかったが、結局ずるずると使い続けている。そのベッドに手をつき起き上がろうと上体を起こした。項垂れる頭をだるそうに持ち上げ周りを見渡しても、特になんの変哲もない自室だ。静まり返ったその場所で、時計の秒針を刻む音だけがうるさいくらいに伝わる。

5:名無しさん hoge:2015/08/22(土) 18:41

「やっぱ夢……か」
妙にリアルだった映像を思い浮かべて一人首を傾げる。夢を見たのは久々だったからか、内容殆どを起床した今でもはっきり覚えていた。地獄と天国を単色で表せばああなるのだろうと、寝ぼけた頭でそれだけを思う。
それでも最後がどうなったのかだけは分からないが。
ちょうど斜め上の位置にあるカーテンは日に当てられて深い緑から明るい色に変わっていた。どうやら太陽は今真上辺りらしい。いつまでもそうしている訳にもいかないだろうと、床に降り立った時には軽い目眩がした。睡眠時間はたくさん費やしたはずなのに、疲労が残っている状態に更にげんなりとした顔になる。しかしあんな夢を見た後で二度寝しようとは思えないし、汗で湿っているシーツの上に再び戻ろうとも思わない。それらを一瞥し、敷布と掛け布団カバーを引っ剥がして脇に抱えると、ゆったりとした足取りで部屋から出た。向かった先は洗濯機。

6:名無しさん hoge:2015/08/23(日) 12:38



ぐるぐる洗濯物が回る様子を、しゃがみ半透明の蓋を通して眺める。数分そうしていたら隣のドアが半分開き、見慣れた顔が隙間から覗いた。パーマ掛かった黒茶の髪が重力のままに垂れる、母親だった。
「はよー」
ちらりと見て挨拶し、すぐに視線を戻す。そのまま全く動かない私をじっと見つめる視線に、何か小言でも言われるんだろうかと身構えていたら予想もしない言葉を投げかけられた。
「おはよう。あんたいつの間に髪切ったの」
「はぁ?切ってないんだけど」
昨日から1センチも変わってないだろうと非難の目を向けても、母は「エイプリルフールはとっくに過ぎたでしょ」と呆れ混じりの溜め息をつくばかり。こっちのセリフだと反射で開きかけた口は、けれども発する事無く黙る。考えて、無駄な労力を使う代わりに極事務的なことを聞いた。
「あ、ねーバスタオルは?」

7:名無しさん hoge:2015/08/28(金) 20:32

「そこの引き出しに入ってるでしょ」
「ええー出しといてよ」
口を尖らせて不満を漏らせば、
「それくらい自分でやりなさい」
と漫然と諭される。都合良く欲しい物が目の前に出てきたらいいのに、などと現代社会では不可能な願望を浮かべて苦笑した。
「……はーい」
肯定としての返事はすでに遠ざかり気味の背中に届いたのかは分からなかったが、後を追うなんて忠実めいたことはせずにその場に立ち上がるだけに留めた。
「惜しいな」
閉まり切っていないドアの境目を見遣ってそう評した声が、密室とはなっていない狭い空間に消えていく。天然ボケした顔を思い浮かべながら、次の行動として言われた通りの引き出しに手を掛けた――その時だった。がくんっと意識と身体、物理的にも精神的にも全てを持っていかれるれる感覚に苛まれる。ぐるぐるぐるぐると目が回る時のようなそれ。
「あ……」
咄嗟にぎゅっと瞑った瞼は、そのまま開くことなく脳のシャットダウンと共に機能を終えた。

8:名無しさん hoge:2015/08/28(金) 20:36

うわ…余計な'れる'付いてる
すいません

9:名無しさん hoge:2015/08/30(日) 19:11



意識が戻ったと言えばそうなんだろう。目を開くという行動が取れた時には、場所はすでにベッドの上に逆戻りしていた。洗濯機の中で回っているはずのシーツ共々元に戻っており、それでも汗のベタつきは身体も同じく嘘みたいに無くなっていた。それ以外は先程と同様のシチュエーション。いつから飛んでいたのか、どこからが夢だったのか、それとも今が夢の真っ最中なのか、曖昧な記憶に振り回されまいと散々な疑問は放置してスマホへと手を伸ばす。
「っわ!?」
手に取ると同時に着信音が鳴った。急な音楽に驚き手を離したことで、端末は重力に逆らわずに床に落ちていく。上向きで着地したそれのディスプレイに表示されたのは非通知の知らせだった。

10:名無しさん hoge:2015/09/06(日) 12:07

身をかがめて拾い上げ、出ようかどうか逡巡していたら、数回目のコールで切れてしまう。履歴だけの残った画面を見ていたらものの数秒で再び鳴り出した。今度は怖いもの見たさで、通話ボタンを押す。
「もしもし……?」
電話口に呼び掛けた後で気づいた有様に、不審感を表すかの如く眉を顰めた。まるで、トランシーバーを使っているかのように向こうが雑音で溢れかえっている。電波の悪さとはまた違ったそれに早速通話に出たことを後悔するなか、雑音を掻き分けるように真っ直ぐ私の耳へと届いたのは、
「君はどこの人?」
若い男の人の声だった。

11:名無しさん hoge:2015/09/13(日) 16:59

長くなりそう間違えたかも
途中だけど終わりで


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