私の願い、それは
もう一度、もう一度あなたに出会う事。
私は、今日も願う。
あなたに
アイタイ―。
「桜の入学式」
3:しおん:2015/10/17(土) 18:55 私は、桜の花びらがひらひらと舞い落ちる通学路を一人で歩いていた。
長い黒髪がなびく。
たったそれだけで周囲の視線は私に集中していた。
「あの子、超綺麗!」
「ね!モデルさんかなー?」
そんな言葉たちを交わしながら、私は玄関前に張られたクラス分けの紙を見る。
1年B組……。
そのクラス分けの紙の中に私が知っている名前は一つもない。
当たり前だ。だって、私はわざと知ってる人が一人もいない高校を選んだのだから。
校内に入っても、周囲の私を見る視線は変わらなかった。
教室に入ると、もうクラスの大半が来ていて、おしゃべりに興じていた。
多分、みんな中学からの交友関係が出来上がっている仲だろう。
一番窓際の席に張ってあるガムテープに、「秋元優惟」と書かれてあるのを確認して、私は席に着いた。
「あの子、可愛くね?」
……。
「なんかモデルみたーい!」
……。