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「ただいま」
誰も居ないしんとしたログハウスは、異世界感がありありだ。
「…………寝るか」
あの疑問を脳内から消し去るために、俺は寝室がある2階へと上がった。
__寝室のドアを開け、ベッドに寝転がる。そのまま目を閉じ、次に目を覚ました時は朝になっている____…
筈だ、うん。
此処は何処だ?いや、海辺だ。
そして_________
波打ち際に、白い少女が横たわっていた。
何故海に居るかは分からないが、あの少女を助けるのが先だ。
「お、おい!」
とりあえず呼びかけてみるが、返事はない。
「起きろって!」
今度は強く揺さぶってみた。
すると少女は気がついたらしく、目を開けた。
凛とした藍色の目と、白い髪。透き通るような白い肌。どこからどうみても美人としか表しようのない容姿だった。
「________ッ!!」
俺は息を飲んだ。
…この子、もの凄いタイプ。
ぼーっと見とれていると、彼女はゆっくりと起き上がった。
「………此処…は……………?」
光なき虚ろな、でも澄んだ目にぴったりなこれまた凛とした声。
ただひたすらに耳が幸せだ。
彼女はまた口を開き、同じことを聞いた。
「此処は…?」
「えっ、あ…あぁ!此処な!!此処…何処なんだ…?海辺ってのは確かだが…」
そう答えると彼女は「そう…海辺……。海辺、ね」と、俺の言ったことを復唱し始めた。このままだとエンドレスに続きそうだと思い、彼女に一番気になっていたことを聞いてみた。
「お前……名前は?俺はヴィクター。ヴィクター・アーグリッシュだ」
「な……ま、え……………………?」
「…もしかして、知らないとか言わない…よな?」
「……………………」
彼女は目を瞑り、黙ってなにかを考えているようだった。
数秒後、ハッと顔を上げると
「エレシー……」
とだけ呟いた。
「エレシー?それがお前の名前か?」
「うん…そう。私の名前、エレシー」
そこで俺は気になった。この世界では『エレシー』というのは紛れもなく女の『名前』だ。
「そうか、エレシー…な。可愛い名前じゃないか。…で、名字は?」
「みょ、う…じ?」
「ファミリーネームだよ!」
「知らない…」
「はぁ!?」
思わず声を荒げてしまった。彼女は一瞬ビクッと肩を揺らした。
_____表情はピクリとも変わっていないのに。
とりあえず驚かしてしまったことについて謝る。
「おぉぉ、すまん…」
「いいの、気にしてない。それよりヴィクター。早く逃げて」
「は?」
「いいから!」
彼女の声はどんどん焦りを帯びてきた。さっきまで冷静だったのに。
「早くッ…!戻れなくなる前にッ…!!早く!!」
「だからなんの話を______」
___目が覚めた。目に映るのは丸太で出来た天井。
「え…?だってさっきまで俺、海に…。エレシーは?此処、家…俺の部屋………」
もうなにがなんだか分からなかったが、学園に遅刻しないようにてきぱきと支度を始める。
そういえば、どうしてエリート学園に入れたのかという疑問は、頭から消えるどころかどんどん膨らみ、気になって仕方がなくなっていた。
洒落た電車に揺られること約20分。
「次はー、マスナートーツー。マスナートーツー。お降りの際はー、お忘れ物にご注意をー」
「お、着いた…。降りるか」
プシュー………という音と共に、ドアが開く。
そこから歩くこと約10分。家から学園まではかなり遠い。そのため、電車を使わないといけないのだ。
_______無言のまま黙々と歩き続け、漸く学園に着いた。校門を潜ると、誰かにバシッと背中を叩かれた。
「痛ってぇぇ!?チッ、誰だよ!?」
「よっ!ヴィクター!」
「ビッツ………叩くなよ…」
彼はビッツ・シルガー。俺の親友だ。俺は友達は多い方だが、こいつは特に仲が良い。
New
ビッツ・シルガー
ヴィクターの親友。
とにかく明るく元気で、
常に運動していないと落ち着かない。
割と魔法も出来る。
どうも。取り合えず一通り読ませて頂きました。
まず一言。
良いですね、これ。あ、いや、何か上から目線で申し訳ないんですが(
キャラクターの性格、特徴の書き分け、情景、状況の描写、いずれもかなりの完成度かと思われます。
今後のストーリーも気になる続き方をしていますし、今後の展開によってはさらに光るのではないでしょうか。
ただ、少し気になった点が。と言っても大した事では有りませんが。
少しだけ、エクスクラメーションマーク...要は「!」←これですね。少しだけ多すぎるかと。
感情の上下を表すにしても、せいぜい2〜3個程が限界かな〜と思います。
特に先生のセリフ。6、7つは流石に多いのではないでしょうか。
...とは言え、あくまで個人の感想なんで聞き流して頂いて結構ですw
その他に気になった点は特にはありませんかね。今後次第で増えるかもは知れませんが(
...参考にさせて頂ければ幸いです...ならなかったらスミマセン(
ありがとうございます!
参考にさせて頂きますね!
というか「!」←これ、エクスクラメーションマークというのですか…。
勉強になりました。
確かに多すぎですね(笑)
校門でビッツと喋っていると、
キーンコーンカーンコーン…。
チャイムが鳴り響き、気付くと俺とビッツ以外に校門は誰も居なくなり、ガシャガシャと先生が門を閉めている。
「ヤッベェ!急ぐぞ!」
「おっ、おう!」
ビッツに手を引かれ、急いで教室へ向かう。
「ハァ…ハァ……」
2人揃って息が切れ始めた。俺達のクラスは凄く遠い。やっと着き、ガラッと勢いよくドアを開ける。
「お、遅れてすいません!」
「えっ、す、すいません!?」
ビッツが謝罪したので、つられて俺も謝る。そのまま何事もなかったかのように席に着く。
先生が口を開いた。
「ヴィクター・アーグリッシュ、来なさい」
___何故か名前を呼ばれた。
「えっ!?は、はい…」
渋々先生の後をついていく。廊下に連れ出され、あることを告げられた。
「分かっていると思いますが、今までの貴方の魔法試験の成績は壊滅的です。…よって、明日追試を行います」
「はぁ!?」
「口答えしない!」
ピシャリとそう言われ、流石に言い返せなくなってしまった。
「明日のため、今日はもう帰りなさい。試験に出る魔法を練習してくること!いいですね?」
「う…はい……」
トリップをつけましたが、お構いなく…。
25:たこやきとり◆5YQ:2016/11/27(日) 17:58 すいません、間違えました。
正しくはこのトリップです。
ーヴィクター◆自宅◇寝室ー
家に戻ってきたものの、真面目に練習するほど俺は馬鹿じゃない。じゃあなにをするかというと______
ベッドで寝る。ただそれだけ。
目を瞑ると、睡魔がすぐに襲ってきた。そのまま眠りへ…夢の世界へと誘われた_________
__あれ。何故此処に居るんだろう。
此処は…昨日夢で来た海辺?…ということは……!
「レイシー!レイシー!居るのか!?居るなら返事してくれ!」
あれが此処ならレイシーが居る筈だ。
「レイシー!レイ…駄目だよなぁ…。決まって此処に居るとは限らないし……」
そう落ち込んでいると、
「ヴィクター…呼んだ?」
「へっ?うわぁぁぁぁぁぁ!?レ、レレレレイシー!?ったく…脅かすなよ!心臓に悪い………」
「いや、呼ばれてる気がしてたんだけど………ヴィクターだったとはね。ちょっと調べものしてて…」
「調べもの?1人じゃ大変だろ、俺が手伝ってやるよ!」
俺が快く手伝ってやると言ったのに、レイシーは
「……いいわよ…。気、遣わなくたって」
「水臭いこと言うなって!」
俺はレイシーが調べものをしていたであろう方向へと駆け出した。
暫くすると大きく、平らな石が見えた。丁度台になる大きさで、山積みになった書類が置かれていた。
「あれだな、よしっ!2人でやれば楽勝だろ!」
「あっ…ヴィクター!!駄目!!手伝わなくていい!知らなくていい!知らない方がいい!」
必死で止められるとやるのも申し訳なくなってしまった。
「う…わ、悪い」
「いいわ、気にして…ない」
「____ッッ!」
そこで目が覚めた。レイシーは一体なにを隠していたんだろうか。
…そういえば『レイシー』って…。
死んだ俺の母親と同じ名前だな。
懐かしいや。
New
エレシー・アーグリッシュ
ヴイクターの母親。
とある病で他界済み。
時に優しく、時に厳しい理想の母親。
>>28
誤字。
ヴイクターの母親。⇒ヴィクターの母親。
え、ちょ、私よりも文才あるじゃん!
ってか、話の展開が分かりやすい&超面白い!!
私、恋愛には疎い人だから、恋愛ものの小説とか前から読んでみたいなと思ってはいたんだよね。←つまり読んでない笑
続きが早く読みたいo(^o^)o
私も負けてられないなって思った笑
>>30
ひかるさん、ありがとう!
すみません、トリップは半角の時や全角の時がありますので、『YQ』で見分けて下さい。
33:閖時雨◆YQ:2016/12/01(木) 14:50 名前こうしますね〜。
また更新します!
ザザン……………ザザン……………。
海の音がする。また夢の中に入り込んだようだ。特になにも考えずフラフラと歩いていると、レイシーが居た。
「レイシー…?」
「あぁ、ヴィクター。どうしたの?」
俺に呼ばれていることに気付いたレイシーは、振り返りにっこりと笑った。
「いや、別に用があるわけじゃ…あ」
「え…「あ」って…どうしたのヴィクタ…あ」
見ると、レイシーの書類が風に乗って海に飛ばされようとしていた。
「書類が………………!」
「任せろ!」
「え…?」
「おらぁぁぁぁぁ!!」
「ヴィクター!?」
レイシーside
ヴィクターが…….。海に飛び込んでしまった。人の夢の中の海はかなり深い。大丈夫なんだろうか…。
「ヴィクター……」
海面では、ヴィクターが飛び込んでいった辺りで、水飛沫が消え失せたところだった。…だが、また新たにゴポゴポと泡が創り出されていた。
多分今日の更新は終わりです。
ですが、気が向いたら今日中にもまた書くかもです!
すいません、小説板のと掛け持ちするかもしれないので、更新ペース更に遅くなります…。
38:閖時雨◆YQ:2016/12/01(木) 18:38 掛け持ち…ほぼ確実となりました…。
予めご了承くださいませ。
あ、本当にするかどうかは、
また後日、お知らせしたいと思います。
はい、立ててしまいましたので、
更新ペースめちゃ遅くなります…。
見ている方は居ないでしょうが(笑)
>>40
見てる
無理せんで頑張ってな、
>>41
ありがとうございます!励みになります…!
上私です
44:紅葉山◆3M hoge:2016/12/03(土) 18:10 とても面白いです。
私、ファンタジー系が好きなので、こういう感じの小説大好きです。
頑張ってください^ ^
>>44
わぁ!わぁ!有難う御座います!
確か紅葉山さんもここで短編集を書いていますよね?お互い、頑張りましょうね!
ヴィクターside
___海の奥深くまで進んだ。
此処まで来るのに、49枚の紙を集めた。きっとこれらはレイシーの書類だ。飛び込む直前、俺は使えない魔法で瞬時にして書類の枚数を数えたのだが、数えたところ50枚だった。
「あと1枚か……」
そう言ったつもりだったが、深海ではただゴポゴポと口から泡を吹くだけだった。
_____数分後。俺は残りの1枚を見事に見つけ、全ての書類を見つけることが出来た。………だが。俺も所詮ただの人間。流石に息が保たない。
「くっ………………あぁ…」
最後に踏ん張り、ついに陸まで上がってこれた。そういえばこの書類。不思議なバリアが施されていて、海の中でも全く濡れなかった。
……ってそうじゃなくて!
レイシーはとても驚いた顔をしていた。俺はその顔を視界のド真ん中で捉えたのを最後に、意識を失った___。
「…………ッ…カハッ!」
目が覚めた。あれから3時間ほど経っているようだ。…だがなんだろうか。
この頭への柔らかさは…?砂浜とは少し違う。………一体なにが?
「………………」
「………へぁっ!?」
俺が頭を置いていたのは、
レイシーの膝だった。
「化け物でも見るような目で見るのやめてくれない?」
「えっ……あ、あぁ、ごめん…」
レイシーって幽霊じゃないか…。
心の中でそんなツッコミを入れたあと、謎の違和感が胸を締め付ける。
熱い、熱い、熱い。胸が熱い。
どうして、どうして、どうして…?
この胸の熱さは_______
砂浜の熱さなんかじゃない。
やがて俺は気付いた。
この想いは_________
『恋』なんていうものなんだ。
これからは多分夢の中だけが舞台になると思います…。
50:閖時雨◆YQ:2016/12/08(木) 22:18 この素直な気持ちに気付いてしまったら…。もうドギマギしてまともにレイシーの顔なんて見れないじゃないか。
「……………………ッ…」
息が詰まりそうになる。
「……?どうしたの、ヴィクター?」
レイシーが心配そうに首をかしげる。
なんとなく恥ずかしくなり、ぷいと横を向いた。
「お…俺もう行くな」
「えっ…?ち、ちょっと待ってヴィク………」
「……じゃあな…」
「待っ…」
レイシーがなにか言いたげなのを遮り、俺はフラフラと海辺へ散歩に出掛けた。
あれから数日経った今日。
レイシーはやはり怒っているのだろうか…。それだけが気がかりだ。
「…謝りに行くか……?」
何故かクエスチョンマークの付いた独り言を無視し、いつもレイシーの居る場所へと移動した。
「…ヴィクター………………?」
「……よ…」
俺は力なく挨拶した。緊張しているのだ。これからどうなるのかということが気になって。
こっぴどく叱られるのか、はたまた愛想をつかされて無視されるのか。
「…ッ………!」
俺は殴られても良いようにぎゅっと目を瞑った。
パァン!
「……………は……………………?」
俺の頬に激しい痛みが走った。
…と同時に激しい音も。
ふと見ると________
__レイシーが俺に抱き付いていた。
「馬鹿ッ……!ヴィクター……!私ッ…心配ッ………したのよ……!?…でも、良かった………」
涙ながらに叱られた。
__まるで『我が子』を叱るように。
そして、先程の痛みはレイシーによる平手打ちだったらしい。
「………う…」
とにかく落ち着け…。焦っても意味はない。と、とりあえず退かせば良いか…?
「……レ、レイシー…?苦し…」
「へっ…あぁ、ごめん……。つい…」
そう言ってレイシーはとりあえず俺から離れた。__暫く沈黙が続いて。
先に口を開いたのはレイシーだった。
「…でも、本当に心配したのよ!?今までッ……なにしてたの!?もうッ…本当に…」
レイシーは顔を覆って泣き始めた。
こ、これは…。謝って泣き止ませなければいけないパターンか!?
「な、泣くなよレイシー…。今まで……えぇと…ち、ちょっと散歩…しててな」
「………数日間も散歩なんて考えられないけれど」
うっ…痛いところを突いてくるな。
もう、告白してしまおうか。
「…じ、実は…俺、レイシーのこと……」
___『好きになってたんだ』___
「ッ……………………………」
なんて言えたら苦労しねぇよな…。
「…?」
レイシーは不思議そうに首をかしげている。
と、匿名なのは気にしないで下さい…。
55:匿名◆YQ:2016/12/17(土) 19:30 「いや…もう……ホント………」
どうにかして。どうにかして。誰か。
このとんでもなく気まずい状況を。
この如何にも「どうしたの、ハッ…も、もしかして貴方……う、うぅん、なんでもないの」とかなんとかいう少女漫画にありがちな展開になること、間違い無し!?もしかしてこの状況、大ピンチ____!?
「ヴィクター……」
「ッ!?は、はい………」
「さっきからさ…」
ふとレイシーの顔を見ると____。
___レイシーは泣いていた。
「え…?」
「もうッ…なんなのよ!さっきからヴィクター可笑しいじゃない!なにか私にバレたら不味いこととか、やましいことでもあるの!?それとも私が悪いの!?文句があるならッ……なにか私に文句があるなら、はっきり言ってよ!」
「え、いや…レイシー。……悪い」
「謝って済む話じゃないでしょ!?」
「………」
「はっきり言いなさいよ!!この馬鹿ヴィクター!!貴方らしくないじゃない!こっちが調子狂うのよ!…気持ち悪い」
「ッ_____!!」
レイシーはそれだけ言い残すと、去って行った___。
俺は自分で自分が涙目になっているのを理解した。うつむいて、必死に堪える。力を抜けばきっと…大粒の涙が溢れてしまうから。それだけは男として避けたかった。でも、_泣きたかった。
「うっ……」
ハッと気付けば、俺は既に白い砂浜に目から溢れ落ちる水滴をポツポツと残していた。
「……………謝らなきゃな。レイシーに」
俺はそう決めて、レイシーを捜し始めた。
「ハァ…ハァ………レイシー!」
レイシーを捜し始めてから凡そ30分。走り難い砂浜を駆け抜け、やっとの思いでレイシーを見付けた。
「…なによ、ヴィクター。どうせ私のこと嫌いなんでしょ。文句あるんでしょ?それなのにどうして近寄ってくるのよ。嫌いな相手と顔会わせてもつまらないじゃない」
「違う!」
「は…?」
「…ごめん。レイシー。俺、ずっと黙ってた」
「なによ。私に対しての文句?お気の済むまでぶつければ良いですよ、文句。私幽霊だし。不満があってもそこを直す気は更々無いですけどね」
「煩いんだよ!そうやってうじうじうじうじ…!俺がッ……俺がいつ!嫌いっつったよ!?」
「……!」
これが最後のチャンス。そんな訳ないのに、そんな気がした。もう二度と…俺のこの思いを、伝えられない様な。
「あのな、レイシー…」
「…?」
すぅぅと息を吸い込む。苦しくなる程に。限界まで吸い込んでから、吐き出す。世間で言う深呼吸だ。充分に息を整えてから、俺は俺の正直な思いをそのままレイシーにぶつけた。
「俺…レイシーのこと、好きなんだ」
ぎゅっと目を瞑る。レイシーの反応を窺うのが恐かったからだ。
そろそろと目を開けると…。
案の定レイシーは驚いていた。
………デ・ス・ヨ・ネ!!
「あ、あー…おーい、レイシーさーん?」
目の前でひらひらと手を振ってみる。
すると漸く気付いた様で、ビクンと肩を揺らした。
「…駄目よ、ヴィクター」
「…は?なにが」
「私達は…恋をしちゃ駄目なの」
「………………………」
一拍置いて。
「ハァァァァ!?」
折角思いを伝えたのにこの仕打ち!?
「な、なんでだよ!」
「だって私達……………」
「俺達………?」
そして俺は次のレイシーが発する言葉を待った。
「だって私達……………」
「俺達………?」
「……親子なんだもの」
「…ハァァァァァ!?」
本日2度目の「ハァァァ!?」である。
だが驚きは此方の方が断然上だ。
「……ねぇ、ヴィクター。貴方の親の名前…レイシー・アーグリッシュでしょ?」
「そうだけど…。って、なんで知ってんだよ!?」
「だから…私達は親子。そして貴方の母親、レイシー・アーグリッシュは…私なのよ」
「ハァァァァァァァァァァァァ!?」
本日3度目。
「でっ、でもっ…。母さんはもう死んで……」
「…私は幽霊よ。レイシー・アーグリッシュの生まれ変わり」
「………………あ…」
辻褄が合ってしまった。
というのはこの間、俺はこっそり見てしまったんだ。レイシーが隠していたあの書類を。その書類には…。
俺と、母親のデータがびっしりと書かれていた。特に俺のことが。
あれは…今の俺と会っても不自然がないように、今の俺に合わせようとしていたのかも知れない。
「レイ…いや、母さん…なのか…?」
「…そう。私はレイシー・アーグリッシュ。久しぶり………ね…ヴィク…タ………」
レ…じゃなくて、母さんはついに泣き出してしまった。息子に逢えたから…だろうか?
「うっ…………くっ…」
泣き出した母さんを見ていると、…どうやら貰い泣きのようだ。俺の目からも、涙が溢れていた。
「うっ…か…あ…母さぁぁぁぁん!!!」
「ヴィクター…………!」
俺と母さんは抱き合った。俺は母さんに逢いたかった。母さんが死んだ時から。俺は母さんが……母さんが、大好きだったから______。
「…逢えて嬉しいよ、母さん……!」
「えぇ…私もよ、ヴィクター……」
_____俺達は、こうなる運命だったのかも知れない。俺が母さんに逢えなくて。寂しくて。悲しかったから。
それに同情した神様が、母さんに逢わせてくれたのかも知れない___。
______恋する君も、母さんも、
同じ夢の中ではあるけれど、
永遠に、繋がっている____。
完
これにて、『恋する君は夢の中』、
終了となります。
長くなってしまいましたが、
これまで読んでくれていた皆様、
本当に、有難う御座いました!!!
エラーですかね、上がってる……。
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