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何もないから始まりがあるはず >>2
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気が向いたら色々かきます(3L注意)
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乱入お好きに
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頭が痛い、なにか忘れているはずなのに思い出せない。
パズルのピースは揃っているのになんの絵なのかわからない、そんな不可解さがわたしを包んだ。気味が悪い
忘れていることは頭で理解しているのにそれがなんなのかわからない。わからないなら忘れたままでよかった。苦しい。
ぐらぐらと足元がふらつく。吐き気が込み上げる。思わず口許を手で覆った。
足が震えて立つこともままならずぐらりと倒れた。その瞬間はスローモーションのようにゆっくりだった。
鈍い音をたてて身体が固く冷たい床に打ち付けられる。しかし痛いよりも気持ち悪さが勝り呻き声をあげる。
喘ぐように息を吸い、無理矢理呼吸を整える。肺が痛い、苦しい
前にもこんなことがあった気がした
、ふとそんなことを思う。前にも、こんなことがあった
?
自分で感じたことに疑問を持ったその時頭のなかで渦巻いていた濃い霧が晴れた気がした。それと同時に流れ込んでくる記憶の数々。あまりに唐突すぎて脳の処理が追い付かない、がわたしはそれよりも先に理解した
「あ、あ、」
だめだ、押さえきれない。
思い出してしまった。
口に酸の味が広がって、また頭がくらりとした
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ずっと前から僕は異常で異質な存在だった。
僕の周りの彼らはまつげが長くて髪が綺麗ですらりとした白い足を晒す彼女たちを好きだと言う。あかい唇から漏れる鈴の音のような声で名前を呼ばれる度彼らは嬉しそうに頬を染めた。僕の周りの奴らはほとんどそうだった。
そんな時何も感じない僕は周りの奴らこそおかしいと密かに嘲笑っていた、が、おかしいのは僕のほうだった。
僕は長い髪やあかい唇、白い足、鈴の音のような声。そんなのではなく、短く風にうっすらなびく髪や若干かさついたくちに黒く日焼けした手足、そして低い落ち着いた、君の声が好きだった。
そんな君はいつも僕の隣で彼女たちに魅了されている一人に過ぎなかった。
でも、まつげだけは彼女たちに劣らず長かった、と思う
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愛されていないのはわかっていた
わたしが無理矢理引き留めて繋いでいただけ、今にも切れそうなこの関係を
君は最低だった。
いつだってわたしを見ようとしないしわたし以外を愛そうとする、けどそんな君がどうしようもなく好きだった
こんな言葉だけの関係持っても意味がないのはわかっていたのに、形だけでも君の一番になってみたかった。周りから羨望の眼差しをうけてみたかった
結局わたしのエゴの押し付けで君が迷惑しているのもわたしをとうの昔に捨てていることもわかっていた、知っていた、理解したくなかった!!
君がいなくなればわたしは壊れてしまうと思った、から、なんでも受けた
君の言うことすべてに首を振り、なんでも叶え、た
都合のいい女でしかなかった
けど、関係を終わらせたくなくてすがった
醜くて醜くて汚かった、わたしが
もう疲れても君に尽くすことが存在意義のような気がしてやめられなかった。まだ君を愛せていたんだと思う
わからなくなって、でも好きだと思い込んで
そして、そして、
終わった
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「なんでさあ、ずっと見てるの」
唐突にかけられた声に僕は大袈裟に肩を震わせた。正直、心臓が飛び出たんじゃないかってくらい驚いた。
茜色染まる放課後の教室、なんてロマンチックなものではなく分厚い雲に空は覆われ薄暗くなんとなく不気味な雰囲気を放つ教室に一人でいたはず、なのに目の前には少しくせっけの長い髪を耳にかけながら僕の手元をのぞきこむ彼女の姿があった。
「へ、え、あの」
「佐藤くんっていつもわたしのこと見てるでしょ、なんで?あ、もしかしてブラ透けてたとか?そーいうの黙ってるのやめてよね!もう!」
「ち、違うよ!」
日誌を書くのに必死で彼女が目の前に立っていることに気づかないなんてなんて鈍感なんだ。それに、僕が彼女を見ている?そんなはずないのに。とんだ勘違いだ
「別に見てなんかいないよ…」
再び日誌に向き直り震える手でシャーペンを握り直すと彼女は変わらないトーンで口を開く。
「そーお?わたしが佐藤くん見てるときだいたい君もわたしのこと見てる気がしたんだけど、な」
勘違いかあ、なんてつぶやくと彼女はまたねと手を振って教室をあとにした。
「…え?」
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飽きたからもういい