prologue
ある人間達はこう考えた。
犬や猫の保健所は何故あるのだろう。
人間の保健所は何故ないのだろう。
世の中には動物の命を軽はずみに考え、命を無駄にする不届き者がいる。
それは自分が死なないという安堵感からくるのだろう。
有能でもないくせに、なんの役にもたたずに弱いものいじめをするソレにいきる価値なんてあると思う?
昔、可愛がっていた野良犬がいた。
ある日の事。いつもの様に餌をやりにいった時、そこに犬はいなかった。
次の日も、その次の日もいなかった。
3週間後に路地裏に行くと、血だらけで横たわるただの肉の塊となるソレがいた。
「ふざけんな・・・ふざけんなふざけんなふざけんなぁぁ!!許さない・・・!」
私はその日、ソレを土に埋めた。
泣き腫らした赤い目と泥だらけで血だらけの服を見られて怒られたけれど、私にはそんなことどうでも良かった。
学校でも家でも寝ていてもあの子の事を考えた。
そして、いつしかこう思うようになった。
人間の保健所を作ろう。
路地裏が好きだ。
かわいい猫に会えるし、人があまりいない。
今日もいつも通り路地裏に何故か来たいと言ってきた兄さん達と十四松、トド松を連れてやって来た。
いつもなら静かな路地裏が今日は凄く騒がしかった。
時々、猫の叫びが聞こえる。
喧嘩かと思って歩みを早めた。
顔を覗かせて中の様子を伺うとそこには白い猫が泥だらけになり、周りの奴らに蹴られていた。
「てめぇら!」
「何してるんだ!」
自分より先に声をあげたのはおそ松兄さんとくそ松だった。
「あ?うるせぇよ。」
こちらを睨みながらドスのきいた声をだす男に十四松は走って向かっていった。
「おにーさん!退いて!」
パンッ!その声と一緒に銃声が響き、男達は次々に倒れていった。