さっき、手に画鋲が刺さってな。
それで誰かに悪夢の内容を伝えたくなった。
まあ見ていってくれ。
あれは俺が小学5年生の時。
俺は子供故の悪戯心で、嫌いな奴の椅子に画鋲を置いた。
三日連続でな。
一日目、二日目は悪戯ということで済まされた。
よく分からんが、笑ってたYとAのせいだろう。
三日目は駄目だ。
嫌いな奴…Tの手に針が突き刺さったんだ。
これにはYとAも笑えなかったようだ。
その日の帰りの会で、担任が犯人探しをした。
犯人探しと言っても、クラス全員が机に伏せて担任が「心当たりがある奴」と聞くだけだが。
俺は当然手を挙げない。
いや挙げられない。
犯人が見つからなかったので、今回は帰ることとなった。
俺はそれが原因となったのか知らないが…
画鋲を置くことがクセになった。
その日から一年間、画鋲を置き続けた。
Tだけではなく、KやT(別人)、Uなどにも。
あの日笑っていたYまたはAが犯人という説も広がった。
Aに至っては、現行犯逮捕されたという噂まであったらしい。
真実かどうかは知らないがな。
結局、犯人は見つからないまま6年生になった、
担任は変わらなかった。
クラスは変わらないものだが、担任まで変わらないとは。
それどころか、学年の担任全てが変わらない。
事件の影響だろうがな。
だが気になることがある。
5月ごろの話だ。
一度だけ、俺の机の中に画鋲があったんだ。
俺が入れたわけじゃない。
机の中を見られたら、それこそお終いだからな。
つまり、俺以外にも画鋲の冷たさを感じた者が居るわけだ。
A?いや、頭のいい奴だったから無いだろう。
事件発生から間もない時に犯行に及ぶとは思えないしな。
Aはやるなら夏休み明けくらいにやる奴だ。
Y?いや、人がいい奴だったからそれは無い。
画鋲で笑ったから、冷酷さがあったのかも知れないがな。
そんなこんなで、俺の机に画鋲を置いた犯人は分からず仕舞。
まあ…今となってはどうでもいいことだが。
さてお前ら。
こんな悪党の文を読んでさぞかし胸糞悪いことだろう。
気分晴らしになるかは分からないが、最後にいいことを教えてやるよ。
俺は今、ものすごく不幸だ。
これまでも、これからもな。
悪戯は程々に。