「う……痛いっ……」
怪物にふっ飛ばされたももは、体中に傷を負っていた。
膝をすりむくなんかより、すごく痛くて辛い怪我を、至る所に。
「この、ままじゃ……死んじゃう……」
死。あまりにも縁のない言葉。どうなるかは想像もつかないが、怪物に殺されることだけはわかった。
「人間……滅ぼす……」
「い、いや!」
怪物が、ジリジリと距離を詰めてくる。
今度は本気だろう。逃げないと死ぬ。でも痛くて動けない。
彼女は……
「あたし、まだ……生きたいッ!」
ももは、希望を捨てなかった。捨ててはいなかった。
どうあがいても生き残る方法は見つからない。だが、生きたい。
「無駄だ!お前から滅ぼして、人類滅亡のカウントダウンを___」
「……うあああああっ!」
ももが、力一杯叫ぶ。そして、ゆっくりと立ち上がる。
「あれ、体が軽い……力が溢れてくるような……?」
彼女は、自分の体に力がみなぎってくるのを感じた。
今だったら、なんでも出来そうな。そんな気がしていた。
「……だああああああっ!!」
もう一度、思い切り叫ぶ。
叫びながら、怪人に突っ込んで行く。
怪人は、ももを一思いに刺し殺そうとした。
無謀にも立ち向かってくるので、それを讃えるように。
しかし、それは叶わなかった。
ももが拳を振り上げた途端、全身が発光し始めた。