一スレを、葉っぱ最速で終わらせるスレ。荒らしもなんでもOK。ただし、やりすぎには注意!
主が知ってるのは、5日。それを破ろう!
次スレは、主じゃなくてもOK!まずは、一ヶ月を目指して頑張れ!
男「魔法のペンか」
27:匿名 hoge:2020/02/14(金) 22:12 男「会社からの帰り道、見知らぬ男から魔法のペンを売られた」
男「税込1080円と少し高いくらいだったからまんまと買ったわけだが、このペンの効果は教えてくれなかった」
男「さて、俺は騙されたのだろうか」
男「1000円ちょいなんて大した出費ではないが、このままただのペンを買わされただけではどうにも悔しい、腹の虫がおさまらない」
男「試しに、紙に絵を描いてみた」
男「少し細めの黒いインクがカリカリと線を描いていく」
男「完成したその絵は、いつもより少しだけ上手く描けた俺の絵だった」
男「何の感動も無い。上手く描けたというのもきっと気のせいで、多分魔法と言うワードの持つある種の昂揚感に踊らされただけに過ぎないのだろう」
男「その後も文章や絵を何度か描いたが、結果は変わらなかった」
男「文章には普段使っていない言葉が少しだけ混ざった。『粛々』とか」
男「結局効果は分からずにその日は寝た」
男「次の日朝起きてみれば、魔法のペンは変わらず机の上に会った」
男「少しだけためらってからそれをかばんに放り込み会社に向かう。今日はこのペンで仕事をしてみよう」
男「と言っても作業はパソコンでの打ち込みがほとんどだから、ペンはメモ書き程度に使った」
男「大した効果は得られない」
男「やはり魔法のペンなどではなく、普通のペンなのだろうか」
男「その時上司に呼ばれた。声の感じからして説教だった」
男「行かない訳にもいかないので重い腰を上げ、上司の方へ向かう。何となくペンを持っていった」
男「お守り程度になるかと思ったそのペンはしかし何の効果も発揮せず、むしろ説教は少しいつもより長かった気がする」
男「帰りがけに気になっている女性社員に話しかけられた。もちろん会話することが初めてとは言わないが、そう言えばここ2、3日話してなかったな、と気分は高揚した」
男「その後二人で食事を摂って帰る。思えばこれがこのペンを買ってからもたらされた一番の恩恵であった」
男「はぁ今日は楽しかった、そう思って机にペンを転がすと、ペンの出し入れを制御するつまみの部分に細工がしてあるのに気が付いた」
男「紙に挟み込む部分を横に回転させると普通にペンの出し入れが出来るが、中に押し込むように押すと中でロックが外れ、半分に分解できる仕組みだ」
男「魔法を半ばあきらめていた私の気分は高まった。しかし魔法にしては妙にチープな細工で、しかも科学的だな」
男「分解すると中から紙が出てきた。読んでみれば説明書だった」
男「『これは魔法のペンです。誰が何といおうと絶対に。あなたの今日はどうでしたか?』」
男「とだけ手書きで書かれた紙。説明書とも言えない代物」
男「私は少し笑って、それからペンを大切なものを入れる引き出しにそっとしまってから、何もせずに寝た」
男「結局安価な魔法のペンは何の効果も持っていなかったのだ。しかしそれでもアレは確かに魔法のペンであり、その効果は0でもあり、計り知れないほど大きくもあるのだ」
男「いくらでも自分で楽しく出来る日常。もう魔法のペンは必要ない」
男「明日からの毎日が少し楽しみになった」
男「しかし私が何をどう思おうと、一番魔法の効果がもたらされたのは、こんな数百もしないペンで私から1080円を奪い去っていった、あの男に他ならない」
おしまい
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