だけどバカと言われようが何だろうが、彼が発したのは信じられない言葉だったのだ。
「えーっと、和哉くん、それはどういう……」
『……俺、もっと〇〇さんに近づきたい』
『誕生日が来てひとつ年取っても〇〇さんとは結構差あるし、俺のことめちゃくちゃ子供扱いするし、…あと一緒に寝てくれない』
「……和哉くん、」
『俺、〇〇さんのこと好き』
こんなタイミングで信号は赤だ。
静止した車の中で、彼は私に向かって手を伸ばす。
後頭部に添えられた手に力が込められてそのまま引き寄せられた。
唇から伝わる柔らかい熱に頭がクラクラする。
段々と深くなっていって、駄目だとわかっていながらも、気付けば私は彼の首に腕を回していた。
漏れる吐息と唇の端から流れた唾液はもうどちらのものかわからない。
タガが外れたように求め合った。
母性なんか、1ミリもなかったのかもしれない。
リップ音だけが響く車内を、大きなクラクションの音が切り裂いた。
慌てて離れると、信号はとっくに青に変わっている。
車を再び走らせて、片手で窓を開けた。
ひんやりとした風が入ってきて火照った体を冷ましていく。
『俺、本気だから』
風とエンジンの音に混ざって彼の声が聞こえた。
『……今日泊まってもいい?』
彼は中学生だし、年齢差からして付き合うなんてもっての外。駄目だ、なんて頭ではわかっているはず。だけどさっきの感覚がなかなか忘れられない。
小さく頷いた時、何かが崩れたような気がした。
>>660 妄想家さんの「さかな」さんから。
さかなさんってほんまに妄想上手い。ピンクすぎるかもしれんけど…