こんな夢を見た、わけではない。
全ては摩訶不思議な夏のせいだ、とそう叫んでやりたかったが、砂漠気候と熱帯気候を足して2で割って自乗したくらい暑いこの部屋でそんな気など起こるわけがない。汗がつつ、と頬をなぞる。
「泣いているの?」と彼女は澄ました顔で言った。不思議そうにこちらを見つめる瞳はよくわからない色をしていた。汗ばんだ素振りは一切見せない。いや、実際、何も汗ばんでなどいないのだろう。本当に彼女は宇宙人なのだろうか。ぐるぐると扇風機の羽根のように素早く頭を働かせようとしたが、暑さにやられて何も考えられない。とにかく、クーラーが欲しかった。扇風機など時代遅れである。自分が何より今求めているのは冷房の他ならぬ。 / >>2-5
という也をする予定