【 設定 】
ごく普通の家庭に住む高校生の少女は、ある日、突然邪な存在――妖怪が見えるようになってしまう。
どうやら、少女の先祖は高い霊力をもった巫女だったようで、原因は分からないが、少女の中で封印されていた霊力が解き放たれた。そして、霊力を身に宿した少女は、妖怪が見えるようになったのだという。
しかも、霊力はその巫女の時よりも高まっているようだった。
妖怪が見える、だけではまだ良いものの、霊力の高い人間は妖怪にとって大きな力を与える存在らしく、少女は命を狙われてしまう。
まだ小妖怪なら札で防ぐことができたものの、ある日現れた妖怪はとても妖力が高く、まだ霊力が使い慣れない少女にとっては危険だった。
そして、殺される――と思ったその時、突然、妖怪が去っていったのだ。
少女は驚き、辺りを見渡した。――と、屋根に何者かがいるのに少女は気がついた。それは――。
「……」
一匹の、銀色の毛並みを持った狼だった。
その狼は瞬時に、銀髪の髪をした少年に変わって少女の目の前に降り立った。
「 貴方が、助けてくれたの……?……ありがとう 」
「……別に」
微笑む少女に対し、少年は素っ気無く返事を返す――。
これが、少女と少年の出会いだった。