夕暮れ時に紅い紅葉を見ると私が辿ってきた過去を思い出すな…
申し遅れた、私は紅葉(モミジ)
折角だから私の過去を聞いてくれぬか?
人と話すのは少し苦手で分かりづらいと思うが…
それでも大丈夫なのであれば…
時は今を遡り、平安時代
秋の優しい風が吹く中、とある貴族の家で私は生まれた
母曰く、私の名は母の好きな紅葉の木から取ったらしい
紅葉の葉の様に美しい女に、皆から愛される女になってほしいという意味を込め、私に名付けたと
それから3年、私が3歳になったとき、私は両親から私たち一族の話を聞かせてもらった
私たち一族は、一人一人、不思議な能力を2つ持っていると言う話だ
私の能力はまだ1つしか分かっていない
紅葉(こうよう)を操る能力だ
私は、この能力を嬉しく思った
なぜなら母にいつでも紅葉を見せてあげれるからだ
母に私の能力を見せた
母は喜んでくれた
私も嬉しかった
もっと綺麗な紅葉を母にみせてあげたいと思い、私は能力を上げていった
とある日の昼下がり、能力を上げているとき、私はふと思った
私のもう1つの能力はなんなのか
少し気にはなったが、あまり気にしなかった
そのまま能力を上げる特訓をしていると
思い出したくも無い悲劇が起きた
誰かが私の家に火を放っち、大火事になった
幸いにも私は逃げられたが、両親が殺されてしまった
私は絶望した
住む場所も無くなり、両親も居なくなった
まだ幼い私にはとても辛い出来事だった
その場で、泣き崩れたが、泣いてばかりではどうにもならないと思い、旅に出る事を決意した
街を離れ、山奥へ入り、黙々と旅を続けた
だが、旅の途中、私は疲れて、倒れてしまった
目が覚めると、私はとある民家にいた
「やっと目が覚めた?3日も起きなかったからもしかしたら…って思ったけど大丈夫だったみたいだね」
声のする方に視線を向けると、私と同じ位の年齢の男子がいた
「ごめん、名前言わないとね。僕はタケル、君は?」
「……モミジ…」
「モミジちゃん?可愛い名前だね!」
「あの……助けてくれて…ありがとう…」
「当たり前の事をしたまでだよ!そういえばモミジちゃんは何処から来たの?家は?」
「……いえ…焼かれた……」
「……それじゃあ親は?」
「いない……殺された……」
話していると涙がこみ上げてきた。
「モミジちゃん!泣かないで!」
「うん…」
「家が無いなら此処に住むといいよ!お父さんとお母さんもきっと歓迎してくれるよ」
「ありがとう……」
そして私はタケルという男の家に住む事になった
それから長い年月が経ち、タケルと私は結婚した
ずっと一緒、山へ狩りに行くときも、隣の村へ行く時も、ずっと一緒だった.…が…
タケルが病気を患い、53歳という歳で他界してしまった
それから毎日、私はタケルの墓参りへ行った
だが、墓へ行く道中、私は村の人にこんな事を言われた
「あいつ、実は化け物なんじゃ無いか?」
「タケルは歳をとっているのに彼奴はまだ若いままだ」
「彼奴と一緒に居ると生気を吸われるのか?!」
ちがう!私はそんな事はしない!
そう思い、墓の近くにある川の水面を見た
すると、10代位の姿で私の成長は止まっていた
「嘘…何で…嗚呼、気持ち悪い…気持ち悪い!」
私は駆けて家へ帰り、刃物で腹を刺した
血が噴き出し、しっかり痛みもかんじた
だが
傷口は閉じ、痛みも無くなった
その時、私はおもった
私の2つ目の能力…それは不老不死だったという事だと
その後も何度か自殺を図ったが、やはり無理だった
村人からの嫌がらせも多発していった
我慢の限界が来た私はこうおもった
「私が死ぬのではなく、周りの愚かな人間共を殺せばいい」と
私は家にあった刀を手に取り、村人を一人残らず殺していった
住む場所がまた無くなった私はまた旅に出る事にした
だが、他の村にも私の噂が広まっていた
私は、武家の子供に変装し、姿を晦ました
そして私は、人間は信用出来ない、殺してしまえ。という考えをいつの間にかもってしまっていた
何度も人を切りつづけ、長い月日が経ち
私は何時しか生きる亡霊と果てた