*プロローグ*
昔々、ヴァメイレ家という貴族が住むお屋敷が森の奥の奥にありました。
貴族の中の貴族であったヴァメイレ氏のお屋敷はそれはそれは立派で美しい建物でした。
しかし、ヴァメイレ家はフェルマーン公爵を最後に途絶えてしまいました。ですが今もひっそりと、森の奥の奥に建っているのです。町の子供は言いました。「あの家にはお化けが居るよ」。その母は言いました。「危ないから近づいては駄目よ」。みんなみんな、そう言うようになりました。
今のお屋敷の周りには彼岸花が咲き誇り、窓は埃で曇っています。重厚感のある大きな大きなドアは固く閉ざされ…。
…近付けば見えるのです。白い影がひょっこりと顔を覗かせる。
ある少年はその影に触れられて腕に手形の様な痣ができ、ある少女は次の日に思い病を発症しました。
取り壊せば呪われる。
そう言って取り壊しもされず、今の時代の隅っこで取り残された幽霊屋敷。
本当に幽霊が居るのか。知りたければ貴方も此方に御出なさい。
*世界観*
ある日幽霊屋敷へ近付いてしまった少年少女達。突然の頭痛に襲われ気を失い、気付けば目の前にはあの幽霊屋敷。しかし先程とは様子が違う。まるでタイムスリップしたかの様に、そこに誰かが住んでいるように、周辺の雑草は刈られ、ドアの大きな南京錠は何処かへ消えて、窓からは明るい光が漏れている。
「タイムスリップした…の?」
ある少女が呟いた。その瞬間。
「…君達にこの館の本来の姿が見えるようになっただけさ」
男の声がした。少年少女達には声の主は居ない、明らかな成人男性の声。
しかし姿は見えない。
まるで屋敷が語るように、屋敷から声が聞こえてくる。
「さあお入りなさい。悪いようにはしない。私達とティータイムをしようじゃないか」
《妖怪達のシェアハウスという設定。人間の少年少女に魔法を解いて、人間との物語が始まります。》