この世に生まれ堕ちた命は、浄化された綺麗な魂からこの世の俗物に触れ、欲や悪意に塗れた魂へと変わってゆく。教祖“観鍵 ツトム”は浄化された魂を神から守るよう言い渡された神の声を聴ける唯一の存在で、礼拝堂に教祖は浄化された魂を持つ人間を入れ、綺麗な魂を守ってきました。そして、綺麗な魂の持つ人間が増えた時、汚い魂を持つ人間を淘汰し、楽園を作るのです。
綺麗な魂の持つ人間を区別するため、教祖やその信者は綺麗な魂の持つ人間をこう呼びます。
「フェリス-アポステル」と。
いつか、楽園が出来る日を夢見て。
貴方達が生まれた時から入っていた宗教では、5歳の頃からそう教えられてきました。貴方達は、生まれた頃から穢れのない魂を持ち、そして今まで育った貴重な存在として大人達には可愛がられています。
礼拝堂は日本からはそう遠くないこじんまりとした島に建てられています。その島は教祖が買い取ったもので建てられているのはその礼拝堂と宿泊施設、鶏や牛を飼うための施設のみです。
この島は神の力によって守られているのでこの島の中ならば外に出ても穢れは付きません。ただ、島の外にでると穢れが溜まります。
島には緑が多く、森の中には花畑もあり、命を脅かす存在もなく、みんなで助け合い差別をせず生きられます。皆が笑顔のその島はまさに桃源郷。しかし、そんな世界に不満を抱く者もいるようです。