日和様、私は大丈夫ですよ。それに、呼び捨てていいのですよ?
「いいえ、いいえ。其の何方ももお断り。私はね、私が幼い頃、沢山抑えて来た気持ちがあるから、あなた達には我慢はして欲しくないの。貴女は人形でも機械でも無いわ。……人で無いからこそ、我慢はして欲しくない。…ね、そうでしょ?嗚呼、あと私がさん付けで呼ぶのは癖みたいなものですからね、仕方がないのよ。…誰にでも、だから」
前の話をする時には、顔を曇らせてそう言い切り。これこそ我儘なのかも知れないが、彼女の目には、悪が無く、純粋な気持ちが灯っているからこそ言える事であった。
彼女はにっこりとまた微笑み、口を閉じて。イリヤの答えをまた待った。