「 何だか息苦しいのです 」
何処かに在る、ひっそりとした場所で聳える西洋風の城。周りに在るのは森ばかり、外観は余りにも古びて寂れ、誰かが住んでいるとは到底思えない。近隣の街の住民は、誰も近付こうとしない。旅人達でさえ、こんな場所には寄り付かない。もしそんな事が在ったとしても、「 城に行った 」と生きて伝えた者は、誰も居ないのである。
…しかし、此処には住人が居る。何時しか此処に来て暮らしていた姫君が独りと、使用人が沢山。姫君は絶対に城から出させて貰えず、その代わり他の事は使用人達が付きっきりで何でもしているとか。姫君は毎日、書物を読んだり音楽を聴いたり、外界へ手紙を書いたりしているなんて噂も…。そしてどうやらその使用人達、全員が人外らしい……?
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