( 舞台 )
どこかの世界のどこかの森にぽつんとあるお屋敷。白亜の壁に赤い屋根の教会を彷彿とさせる外観。花の蔦を思わせる緑色の門を抜けた先の庭には花が咲き乱れ、屋敷の裏側には温室も備えられている。外界との繋がりは無い隔絶された箱庭。
( 魔女 )
人形の製作者、そして屋敷の元主人。研究が趣味で自室に引きこもりがちだったが、人形たちには分け隔てなく愛を与えた。3年前のある朝、忽然と姿を消したまま帰らぬ人となる。ある人形によれば、3時ぴったりに飲むショコラ・ショーが大好きなかわいいひとだったとか。
( 人形 )
身体には蝋を、心臓には一粒の花の種を。12歳前後の少年少女の姿をした魔法の人形。ほぼ人間と変わらない機能を持てど、成長しなければ老いもしない。強い衝撃が加わるとヒビが入ったり欠けたりする。
その命が終わりを迎えるとき、胸に埋められた種から花が咲き乱れて自然に還る。温室に咲く花々は、かつて人形だったものや人形になりそこなったものたちの亡骸。