世界観
この国では、「厄年」というものが存在する。それは人によって違い、幼少期に地獄のような経験をしてたまに死んでしまう者や、老人になってから最初の厄年がやってきてそこで死んでしまう者。探せば人生のほぼ全てが厄年の者もいるかもしれないし、厄年が来ないまま天寿を全うする者だっていない訳ではないだろう。……しかし、この国では前者はともかく後者の存在比は無に等しい。……いわば、災厄が常に生活に影を落としているようなものなのだ。
……そして現代、厄年の研究が進められた結果、厄年の法則性が解明されつつある。……それに基づき、国は周囲どころか世界にまで影響を及ぼしかねない強力な厄年の者を監視下に置いた。そして、必要であれば、殺害も実行した。…………しかしだ。強力な厄年の者(以後これを厄者と呼ぶ)達も黙っている訳ではない。独自に研究を進めーーーー時々の暴走こそあれ、自由に厄年の力を扱うことができるようになったのであった。
今やこの国は一つではない。政府の監視組織と、厄者……
もはやそれは、内戦だった。