「いや、知らないな。あいにく私は傭兵で、この地にきたばかりでな」
そんな凄みもどこ吹く風。憎らしいほど美しい、しかしどこか張り付けたような笑みを浮かべる。
狼火のルキウス
「ほー?つまりは流れ者って事か。
よし、お前らコイツを取り押さえろ。」
ルキウスは蛮族の隠れ家の一つを殲滅した帰りに、この酒場へ立ち寄り、酒場にある酒の全てを奪って奴隷市場のある町へ帰還しようとしていたのだが、跪かずに応えるギルベルトの整った顔立ちと、見慣れない武器、傭兵である事を聞くと、
自身を数歩後ろに下がり、両脇にいた帝国兵二人をけしかけて彼を取り押さえようとする