>>900
把握
松茸しゅしゅ
割とマジで好きなカプ(><)
深夜、村人が寝静まった中、ひとり部屋でうずくまる影があった。
彼女の側には落としてひび割れた水晶玉。半分ほど砕けたそれは歪な黒い靄を映し出している。人狼だ。
なんてことだ、しゅしゅを占ったのに、人狼だなんて。何かの間違えだ、きっと水晶玉の不具合が………
頭の中で繰り返し自分を騙そうとしても無理だった。椎茸はぐっと手のひらを握りしめた。占いの結果の正確性なんて自分が一番よく知っているのだから。
「…そうだ、明日、しゅしゅたんに、くろ、出し…しなくちゃ……黒出しを………」
うわ言を繰り返しながら目を見開いて、黒い靄を食い入るように睨みつける。
愛する人を自らの手で処刑台に押すようなことをしなくてはいけない。心の中では葛藤の炎が痛いほど身を焼き尽くして、椎茸はとうとう床に倒れ伏した。いっそ明日が来なければいいのに。村人には負けて欲しくない、でも、しゅしゅたんのいなくなった村に価値などないのだから。
コンコン。
控えめなノック。
続いて聞き慣れた優しい呼びかけの声。
「椎茸さん、夜分遅くにすみませんが、ちょっとよろしいですか」
ああ。
気がつくと口の端は歪んでいた。苦しみではなく、歓喜に。
よかった、明日はもう来ない。