例えば世界があなたの敵だったら、それはそれで素敵だと思うんだよ。
窓辺に座る少女は笑う。
今にも消えてしまいそうな笑顔は儚くとも美しかった。
彼女は辛かろう。この大地を打つ雨と同じように、涙も一緒に消えていけたら良いのにね。泥の中に沈み、やがて、命を育めば良いのに。
百合はこちらを見ない。
死んだ目は外の灰色の空を凝視している。
私を見て。
ぼたりん、いや、牡丹さん。
他人行儀な呼びかけに体が震えた。
少女はそれを察知したのか、口元に静かな微笑みを浮かべた。
ーーわたしはずっと味方だから、ね。
すき(すき)