しゅしゅ悪魔٩( 'ω' )وオチナシ
埃をかぶった地球儀は、陽の光を柔らかく受けとめている。
そこに手を置き少し力を込めれば、さびた軸からやや抵抗が伝わりつつも、やがては苦しそうに回転し出した。こちらに向けられていた図面はアメリカ大陸だったが、今はユーラシア大陸を見せつけてくれる。現実ならば気の遠くなるような距離でも、地球儀上ではたったの半回転で辿り着いてしまう。
羨ましいほどに正反対だ、としゅしゅは目を伏せて苦笑した。
背中から伝う温もりは慣れ親しんだ少年のもの。健康的な体温なのに、触れている自分は今にも中まで火傷してしまいそうだ。落ち着いた緩やかな寝息がいちいち癇に障ってしまうのは、これほど好いていても伝わらないからだろうか。変なところで鈍くなってしまう、この愚かな、悪魔と呼ばれる少年に。
気だるそうな呻きをあげて、夢の中に居ながらも悪魔が体制を変えようと蠢く。起こさないよう慎重かつ迅速に体をねじり、悪魔の上半身を受け止めて自分の太ももへと導く。男にしてはやや長めの赤い髪が、自分の黒いジーンズに放射線状に広がった。さほど光を受けて居ないのに眩しいほど鮮やかな色合いだ。中心にある顔にはまだ幼さが残る。普段の千変万化する豊かな表情の人とは同一と思えないほど、今はつまらない、無機質な容姿で眠っている。あの眩しさは今やなりを潜めてくれている。
体を屈め、悪魔の鼻先に接吻した。
顔を上げた頃には、しゅしゅの表情に色が付いていた。熱くなる頬を自覚しつつも無視して、目の前の人の頭を髪の流れに沿って優しく撫でる。
普段は面と向かっては愛を語れぬ人。今こうして、相手が意識を手放している時にしか触れられないだなんて。ああ、なんと成人した男には似合わぬ醜態よ。
気持ちを素直に打ち明けるには遅すぎた。
二人の関係性は知り合い、朋友、親友を通り越してもはや家族のように練り込まれ、変質し、一つの完結を迎えていた。完成品は鋼よりも強固で、だのにガラスよりも脆い。ひとたび新しく手を加えてしまえば直ちに崩壊してしまう。そして戻ることはもう、できない。
進みたい。
でも壊したくない。
まるで臆病な生娘の恋のようだ。
暮れゆく陽と闇に落ちる世界を窓から見送りながら、青年は今日も、押さえ込んだ想いをため息と化した。
好き……雰囲気がもうすごく素敵で……
前に載せたかもしれないけどこの診断メーカーのやつ好き
https://shindanmaker.com/582349
改めて読んでも凄い><
しゅしゅ悪魔ありがとうございます><><><