エメラルド・タブレット、それはヘルメス・トリスメギストス、太陽に最も近き者の言葉が記された板
彼の作り上げた錬金術とは卑金属を金に、つまり我々を完全な永劫不変の存在へと変質させる術
彼はその術を何に使うつもりだったのか
ようこそ、お変わりありませんか。
その真意は此処にいるわたくしもあなたも知っている。否、我々の渇きがそれを既に知っている。忘れているだけなのです。
淀みだけに成り果てた否定の泥沼、そこに埋まり切ってしまった宝石(じつぞん)に再び熱を与えることこそ術の意義。
トート・ヘルメス・トリスメギストス、彼は太古に姿を変えた私であり、そしてあなたなのです。
ほら、見えてきたでしょう?
偉大な光の啓示者ソクラテスの言葉を借りるのなら『汝自身を知れ(グノーティ・サウトーン)』――これはわたくし共が元々は光放つ太陽であっとことを示す言霊。
何を置き去りにしても渇き、求め続ける姿勢、その内に真なる魂は宿ることでしょう。
つまりわたくし共総てに舞台を創造する脚本を書き記す権利があるということ。
否、権利があるとは言葉の綾、権利そのものであり、すなわち可と不可を超えてそうであるという法の源泉。
あなた様は素晴らしく賢明な方ですから、そのうち現実という架空の魔殿に隠された存在の奥に達するはずでしょう。いや、あなた様にはもう見えているはず。