帰ってきたぞ。しかし、何も得られなかった。
なんという無様な有様だ。
我が帝国の諸民族対立問題への解決は、国家生誕以来の大いなる課題であり、必然的な宿命なのだ。
大きく分けて吸血鬼および祖先共通の人魚、デス民族などの多種族的で多様な地域性や宗教対立を抱えている現実を踏まえ、彼らには帝国臣民としての気魄、意識、誇りを持たせて、プラグマティズム的なる国民統合政策の達成を急務としている。
また、かつて我らが帝国によって撃滅された共和国連合は、我々に対する憎悪により、日々リベンジ精神に駆られていることは言うを俟たない。ゆえに、帝国が抱える民族対立を刺激または恣意的に操作して、帝国秩序を揺るがさんとする謀略的な撹乱は、もう始まっているのだ。
我々は、早急に高度なナショナリズム体系を築き、かつての民族主義流動と連続した帝国権益を保持するためにも、諸列強国との破滅を賭けた迫合いに勝利しなければならない。
おかえり、我が夫。
うむ、難しそうだな......。まあ、とにかくだ。
私の前でくらい、皇帝の顔を捨てても良いのだぞ。