おまっ…!避け……
( 自身が振るった棒が相手の腹部にめり込みかけるその寸前。相手のあまりにも無防備で無抵抗な様を前に、ブレーキの効かない自動車に乗っている感覚に似た焦燥感に襲われた )
えっ
( しかし、それは滑らかに弾かれる。予想外の出来事に思考が停止する中で、相手の説明が否応なく耳に入ってきた )
そりゃすごい能力だなっ
( しかし、感心している暇もなく、頭上より上は氷でできた鋭利物の逆さ針地獄が待ち受けている。
落ちてくる。瞬時に懐からさっきと同じ石を取り出し、続けて口へ、喉へと放り込む。しかし間に合わない。だから、片腕をくの字にして迫りくる鋭利物を防ぎつつゴクリと飲み込んだ。
ーーーグサ、グサリッッ
一本、二本、そして三本目の鋭利物が腕に刺さった局面で頭からつま先にかけて黒く、見るからに硬質な、鎧で一瞬にして形成された。
以降、カチカチと音を鳴らして三本目以降の鋭利物を防ぎきる。しかし、ここまでのほんの数秒の出来事に対し、心臓はバクバクと最大限の高鳴りで危機を主張する )
いや強すぎだろ。アンタに勝てる気がしねえんだけど。