泣いている幼子がいれば手を差し伸べ、萎れた花があれば水をやり、生活もままならない老体を気遣う。俺は村の英雄になりたかった。誰かを救うことが天命だとも幼心に思ったものだ。しかし、その淡い夢も長くは続かなかった。村には奴がいたからだ。