ニャー… ニャー…
「愛らしい子ですね、あなたは」
するりと、路地裏にて、子猫をに指を添え、言葉をかける影がひとつ
その姿は暗闇に桜が咲くように、桃の色が映える和服のようで洋服のような、多くが混ざりあった衣を纏っている
影 陰 景
「あら」
遠くから、皮肉かな
まるで感情を持っているかのような、機械の声が耳に触れた
「…………まぁ、ここなら襲われることも無いでしょう」
撫でていた手を止める、するとこちらを見上げる子猫にふわりと微笑みを浮かべて
「貴方は生きていけるでしょう?さぁ、お行きなさい、可愛い子」
そうして背を向ける
携えるは、鋼に咲き乱れる、桜花