少女は研究室で生まれました。正確には、作られました。戦争が終わる半年前のことです。研究施設の人々は、大砲の開発に用いた変化弾の応用を考え、新たな兵器の研究を試みました。それは心臓を弾とするものでした。心臓の停止で爆発を引き起こす、いわゆる人型爆弾です。その恐ろしい兵器として少女は生み出されたのでした。
ですが、少女が敵陣へ送り込まれる前に戦争が終わってしまったので、人型爆弾の研究もろともお蔵入りになったのです。後の研究施設は少女の処理に困ったと言います。少女が死ぬと爆発が起こるからです。平和になった今、少女の存在意義は終戦とともに消えてしまいました。そんな爆弾少女の生きた証を、白旗の影に隠れた一つの人生を、同書では記したいと思います。
著:◼◼◼