部屋の外に出て十分ほど経っただろうか、四つほど部屋を調べたがジョーの姿は見付けられなかった。
「この建物、広さのわりに人が少ない……」
それに利用された痕跡があまりない、誰かの私物やゴミ箱の中にゴミが見当たらない、先程捕らえられていた部屋もそうだ、取引用に用意した一時的な拠点と言ったところだろうか。
冴月はなおも人気の無い通路を進む、そして通路の突き当たりの階段に差し掛かろうとした時、どこかで喧騒が聞こえた。
「ジョー……待ってて」
自分の居ないところでジョーが傷付いていると思うと居ても立っても居られなかった、冴月は階段を駆け上がり階上へと向かう。