アメリカで残虐な殺人事件があった。
警官たちが通報を受けてその部屋に行くと、そこには描写するのをためらうほど損傷を受けた遺体があった。
一人の新人警官が嘔吐感に堪えながら、現場保存のため遺体や部屋の写真を撮っていると、
(その警察署では、これは新人の仕事だった)
ある壁に文字らしきものがあるのを発見した。
近づいてよく見てみると、計算機に表示されるような形で『7734』と数字が書かれているようだった。
その数字は被害者の血で書かれていて、新人警官はその意味を理解できず呆然としていた。
「おい何やってんだ、さっさと仕事しろ」
先輩の声に、持っていたデジタルカメラを落としそうになった彼は、慌ててその数字を写真に撮った。
「ちゃんと撮っただろうな。おまえこの前も変な撮り方したろ」
先輩の文句も、悲惨な現場の雰囲気に気おされている新人警官の耳には、雑音のように聞こえていた……
自分が撮影したデータを資料化していて、新人警官は自分がまた撮影ミスをしていることに気づいた。
「このカメラの形がよくないんだ」と呟きながら、彼はその画像をよく見るなり息を飲んだ。
あの壁に書かれていた文字の写真。
彼は蒼白になって、そのデータを削除したという。