___私の通う高校。
そこは、よく廃校と間違われる程古い。
100年以上の歴史があるにも関わらず
改築工事は現在まででたったの1回しか行われていない
しかも、その改築工事を行ったのは今からおよそ50年以上前なのだ
今まで何度も"改築工事のお知らせ"
という紙を配られ、別の校舎へ一時的に移る計画を立ててはいるのだが
何故か、それから全く話が進まない
??「桜井さん、このチラシは何?」
「ぁ、えっと......」
放課後。
冬だからか、5時を少し過ぎた頃なのに
窓から見える景色は
もう辺りはすっかり赤く染まっている
??「隣のクラスの立花 美沙子です。」
「立花...さん」
ショートヘアの可愛らしい女の子が
私に微笑みかけてきた
しかし、私にはその顔に見覚えは無かった
全校生徒120名程の比較的小さな学校ではあるし
尚且つ隣のクラスなのに、まだ顔も知らない生徒など居たのか。
美「このチラシについて、教えてほしいんだけど」
"改築工事のお知らせ"
彼女が手に持つチラシには、確かにそう書かれていた
でもそのチラシは何処となく
くしゃくしゃになっていて
道に落ちていたものを拾ったようだった
字も読めそうにない
__というか、そもそもこのチラシには
"改築工事のお知らせ"と関係者紹介しか載っていないが。
美「私っていつも学校を休んでいて、来るとしても途中からだから...
それに、改築工事の事を今まで教えてくれていた進藤さんも
もう居ないみたいなんだよね」
進藤さん...
確か彼女は、2組の委員長だったはずだ
もう帰ってしまったから聞けないなら
教えた方が良いのかもしれない
多分、1年生で残っているのは私だけだと思うし...
「12月2日の月曜日から、改築工事を始める事になったんだ
だから、今度の日曜日に1年生皆が集まって
この校舎と違う校舎に分かれて大掃除をする事になっているの
今回は今までよりずっと本格的だし、きっと上手く行くと思うな、改築工事」
美「12月、2日......か」
「良かったらおいでよ。一緒に掃除しにさ」
美「うん...ねぇ、桜井さん」
美「私ってこの校舎にずっと居るとさ...愛着が湧くんだよね
だから、さようならは嫌だな......」
「そう、なんだ......」
美「教えてくれてありがとう。
また改築工事のお知らせが届いたら
その時は私に色々教えてね」
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日曜日
出席確認は、学年統一で行われたが
欠席者は進藤さんだけ...
いや、進藤さんと立花さんだけだった
立川さんは、不登校なのに何故「ずっと校舎にいると愛着がでる」
って、言ったんだろ?