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1:サビぬき。 ◆.PRo:2012/06/19(火) 21:52

◎ルール
・怪談ストーリー限定
・コメント不要
・雑談厳禁
・それさえ守ってくれれば、誰が書いてもかまいません。

【第一話:※実話(つか、俺も関係者)】

『迷い込んで来た霊の話』

神奈川県内の新築老人ホーム現場での話。

年末の完成を控えて工事現場が最も多忙な時期を迎える10月初旬頃、そこでは
奇妙な噂がささやかれ始めた。
最初にそれを言い出したのは、常日頃から遅い時間まで残業しがちな電気工事業の
作業員。彼らの話によれば、「夜の10時を過ぎて3階で仕事をしていると
上の階の廊下をピタピタと小さなスリッパを鳴らして、子供が走り回っている
音が聞こえて非常に気になる。安全面でも問題なのではないか?」との事。

その時は誰もが「工事の進み具合を気にした施主(オーナー)が、孫でも連れて
場内を見まわっているのだろうよ?困ったもんだ。」という現場監督の言葉に
納得して、苦笑いと共に竣工期日の追われる毎日に没頭していった。

その建物は鉄筋コンクリートの4階建てで、三つの棟が中央廊下でつながっており
真上から観ればちょうど「王」という文字に似た形の比較的大きな物件だった。
ちなみに部分的に特定のフロアーだけを見比べると、老人ホームと病院の内科病棟は
似た造りになっている為、その後11月の終わり頃にこんな事件が起こった。

それは作業工程の遅れを取り戻す為に他所の現場から応援に駆り出されて、
深夜まで作業をしていた建具職人の何気ない言葉から始まった。

『ここの病院(?)の4階は、もう営業してんの? ゆんべパジャマを着た
小学生くらいの女の子が、さかんに階段を昇り降りしていたけど‥?』

例の足音に聞き覚えのある作業員たちの誰もが蒼白となり‥作業所はその日、
小さなパニックとなったそうだ。

その翌日からは本来であれば徹夜さえも辞さない状況の竣工直前現場のはずが、
日没と共に全員が退場・帰宅するという異例の事態となったのである。

「工場跡地に建ったまっさらの新築の建物なのに‥」
「オーナーやら関係者に訊いても、思い当たる女の子(の霊)など居ないのに」
「そもそも病院ですら無いのに、何故に女児入院患者(の霊)が‥?」

結局、それらの疑問は何ら解決されなかったのだが‥平成20年にあった実際の話。


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