高1の夏、僕のクラスに転校生がやってきた。
名前はA。彼はとっても変わった人間だった。
自己紹介の時も何も話さなかったし、
その上クラスメイトの顔をじろじろ見ながら
「家…公園…車…病院…病院…エレベーター……」などと
意味が分からないことをブツブツ呟いていた。
その不気味さに、クラスのみんなが絶句。
それからというものAは、案の定クラスにもなじめず孤立していた。
だからといって、いつもブツブツと呟いているAは不気味だったので
いじめられたりはしなかった。
ある日、Aが突然授業中にガタガタと震え出した。
「どうしたんだA!」先生が駆け寄ると、
Aは窓から反対側の校舎を指さして
「…向こうの人達は?」
「え?あっちの校舎にいるのは全員2年生だけど?どうした?」
「飛行機…飛行機……飛行機…飛行機飛行機飛行機飛行機飛行機飛行機…
うああああああああああああああああああああああああ」
叫び狂うAに、クラス中が怯えた。
でもみんながもっとAのことが怖くなったのは、この後だったんだ。
きっとAは人が死んでしまう場所がわかる。
だから自己紹介の時、クラスメイトの顔をジロジロと見てそれぞれの死ぬ場所を言い当てた。二年生達を見て「飛行機」を連呼したのは多分修学旅行とかで二年生達が飛行機墜落事故とかに遭うから…?