曽祖父が鬼になっていた話

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2:AB:2018/03/29(木) 12:08

つづき

…何時頃だったか。
俺は夢を見てた。
その夢の中で、仏間の仏壇の横にある床の間の壁がガタガタいって外れそうになってた。
まるで仏壇と床の間の境目に隠し扉かなんかがあって、向こう側から誰かがそれを開けようとしてるみたいだった。
怖くなって目を覚ましたら、夢じゃなくて現実に仏間の方向から『ガタガタッ』って音がした。
本当に木の横引き戸を開けたような音が。

びっくりして隣に寝てる両親をものすごい剣幕で叩き起こして、今あったことを説明したんだけど俺は昔から説明が上手くなかったんで結局『夢』の一言で片付けられてしまったんだわ。
ただ母がやれやれって感じの対応だったのに対して父が割とガチ切れ気味で全否定してきたのにはちょっと引っかかった。

で、次の日。
昨夜のことが釈然としなかった俺はまず祖母に聞いてみたんだ。
「昨日の夜仏間から木の扉のような音がしたのを聞いたんだけど仏間には隠し木戸があったりするんじゃない?」って、ちょっと冗談めかしてさ。
そしたら一瞬祖母の顔色が変わった。
けどほんの一瞬だけで、後は昨日の両親と同じ反応。夢で見て寝ぼけたんだろうの一点張り。
なおも食い下がろうとしたら「そんな話もう止め」とピシャリとシャットアウトされた。

普段は優しくて物腰も柔らかい祖母の珍しく厳しい態度にちょっとビックリして、俺もそれ以上その話をする気は無くなった。
なのにそこに姉が今夜は仏間で寝てみたいとか言い出した。
「何にもないかどうか私が確かめてあげる!」とか言っちゃって。

それを聞いた途端、祖母が今まで見たことないレベルで姉に切れた。
「○○ちゃん(姉の名前)、アホなこと言うんやなか!そげんこと絶対許さんよ!!」って。
あまりの剣幕に俺も姉もただ黙ってコクコク頷くしかなかった。
その様子を見ると祖母は笑顔に戻って、怒鳴ってごめんねぇと言うと
「ばってん、夜にうちの仏間に入ったら本当につまらんばい(だけど、夜にうちの仏間に入ったら本当にダメだよ)」と言い添えて奥の台所へと入っていった。

つづく


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