『ワープホールは知っている』
第10話
美里(私)side
「次の王様はだぁれー?」
クジを引いたひなが訊く。
ところが、誰も答えない。
「持ってる?」
「ううん。」
まだ誰も引いてない?でも、私、クジ運悪いからなぁ。
そんな事を考えながらクジを引くと。
…わぉ!
「あっ、私だ♪」
思わずクジを振った。
「おー、おめでとー。」
ゆもんが拍手してくれた。でも、男子組は…。
「み、美里⁉」
ギョッとしている。ホントに失礼しちゃうな…。
「何よ、あんたたち。私が王様…じゃなくて女王様で、何か文句ある?」
腰に手を当て、ツンと顎を上げて少し女王様ぶってみせた。
「女王…。」
「シンデレラとか、白雪姫に出てきそうな女王っぽい。」
「メイド服だから、『不思議の国のアリス』のハートの女王じゃね。」
「とにかく、我儘で意地悪な女王って感じじゃない?」
小塚君、若武、上杉君、翼が感想を述べた。
失礼ね!
でも、黒木君だけは違った。
「女王様。」
と言ってひざまずき、私の手に口付けするフリをした。
え⁉
一瞬ドキッとしたけど、こんな所で純情に頬を染めたくなんてしたくない。
女王の威厳がなくなるっ!←ソコ⁉
別に好きな人にされてるワケじゃあるまいし、落ち着いて。
気付かれないくらいに深呼吸して、黒木君に言った。
「お立ちなさい。」
黒木君が立ち上がった隙に、黒木君の手に包まれていた手をスッと抜いた。
さすがに、ずっと手握られてるのはヤバい…。