アーヤside
「わぁー!」
メルヘンチックと言う言葉はこの庭の為にあるのではないか。と言う程メルヘンな庭。ピンクのコスモスに紫色の薔薇。黄色のスミレ、そして……蒼い紫陽花。
「若武、蒼が邪魔してね?ここまでメルヘンな庭なら赤の方があうじゃん。」
……え?……え!?
ちょっと待ってよ……このセリフは翼か黒木君のセリフ……だよね?
あの上杉君がこんな事言うの?ていうか言えるの!?
「んだよ。お前ら全員揃ってそんな目で見てくんじゃねーよ。母さんが(ごめん、上杉君 お母さんの事なんて呼ぶっけ?)庭いじり好きで、妙にこだわってんだよ。で、昔色々教えられた事、未だ覚えてんだよ。」
……そうなの?
「まあまあ、普段は聞けない 上杉せんせの意外な言葉が聞けたって事で。」
黒木君は助け舟を出したのだろうか。それとも煽っているのだろうか。
「でも、本当にそうだよ。赤いのに変えたら?」
小塚君が若武を見据えながらそう言う。若武は……なんとも言えない表情をしていた。
「赤いのを植えたんだ。確かに赤い紫陽花の苗だ。
だけど、いくつやっても青くなるんだ。青いのを植えたら赤くなるかもと思って植えてみたが、青くなった。」
若武はしゃがみこみ、苗に付いていたらしい【赤い紫陽花】と【青い紫陽花】のピックを見せた。
「妙な事が起きるもんだな。」
「なんか……それの決まりがあった気がする……けど……分かんないなあ……」
皆 残念そうな表情をしている。もうここまで来たら青で揃えたらいいんじゃないかな?って思うけど、きっとお母さんの趣味なんだろうな……
「ねえ、嗅ぎなれない匂い追うのは?辺りの探索は?」
翼は、新しい匂いに興味があるみたい。若武を睨みつけてる。
「ああ、そうだったね。そろそろ行こうか。」
もうすぐ……だ。あの蒼い泉とのご対面は___
お袋ですね、クリスマスでの母親の呼び方は
あーでも、母親でもいいかもしんない