出会いと別れの季節とかよく言うけれど、実際はそんなこともないように思える。
私みたいな、あまり人と関わらないタイプには本当に縁がないのだ。
出会いの縁も、別れの縁も、せいぜい教師の入れ替わり程度。
クラス替えをしてもそこで会った人と私の間に何か関係が生まれるかといったらとても細くて切れやすい「級友」ってものくらい。
もし運命の人との糸が本当に赤い毛糸みたいなものだったら、その級友との糸は繊維ほどのものだろう。
「今年も同じクラスだね」
隣に座った忍は後ろの女の子に俺が前でごめん、と声をかけた。
一年の時から忍の後ろの席を引いた子は男女問わず「ハズレ」と口にしていた。
理由は、彼の授業中の態度が先生に目をつけられていることや、背が高いせいで黒板が見えづらいという理由で大変だから。
マリンは忍の顔がかっこいいって言ってたし、女の子の中には後ろ姿を見れて嬉しいって子もいたんだろうけど。
「悠飛とマリンは一緒だって。さっきこっちのクラスまでわざわざ報告に来たよ」
「うわ、片山お疲れ」
そう言うと忍は空に向かって手を合わせた。
去年マリンの遠回しだけど確かなアタックを受けた忍は大分それが応えたようで、途中から「佐田の視線はゾクゾクする」とか言い出していた。
マリンに失礼だとは思うけどあの獲物を狙うチーターみたいな目は確かに向けられたくない。
「美門は上杉と同じクラスだってさ」
「あの二人か…喧嘩はあまりしなそうだね」
当然だけど無くなっていた名前に少し落胆したのは誰にも言いたくないような。
KZという、不定期でしか会えなくても確かな繋がりがあるのだから別れではないし、そんなことで寂しがってるのってなんか女々しい。
「あいつ、ぜってぇ学ランのボタンきついって嘆いてるぜ」
「確かに、ブレザーでも愚痴言ってたし」
「懐かしいっていうか寂しいっていうか」
「忍が?意外」
失礼な、とでも言いたげにあげられた片眉。
それでも私は彼がそんなこと思うような人に思えなかった。
「どうせKZさえあれば会えるんだから、とか言うのかと思ってた」
「……お前さあ、そんな不確定なものを当たり前みたいに」
不確定なもの、そう言われて反論できない自分がいた。
事実、ここ2ヶ月召集も無ければ忍以外のメンバーと会ってもいない。
唯一塾で見かけた小塚君とも、会話を交わすことはなかった。
「別れの季節、なのかもね」
桜は散った。
これから少しずつこの暖かさは暑さへと姿を変えて、面影を消すのだろう。
-END-
今回はアーヤsideです!題名つけ忘れました!
『春』です!!!!はい、安直です!!!!
えーと、登場人物は見ての通りアーヤちゃんと忍ですね、でも七彩ではなくて普通に学校での一場面みたいな。
前回の美佐田も浜田でのお話でしたが、あれは翼が転校していない設定なので完全に妄想であって、こちらはありそうでなさそうな、なさそうでありそうな感じになりました!はい!
春は出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。
ちょっと切ないですよね、。おしまいです☺
今回の小説もすごく良かったです!!これからも楽しみにしてます。もう作者さまのファンになってしまったようです。。頑張って下さいっ!応援してます(o^^o)