『初恋』
作・名無しのKZ好き
駅から出て、少し歩いた頃。
すれ違ったその影に思わず振り返った。
最近会えていなかった彼と、見知らぬ女の子。
私は、彼を好きだったのだろうか。
結論から言うと、私はどうやら若武和臣に恋をしていたらしい。
していた、というのもあの後行きつけのバーに入るとそこにはすれ違ったはずの彼がいて、少し遠くからグラス越しにその姿を見つめていると昔の感情がぷかぷかと沸騰が始まったばかりの水のように浮かんできたのだ。
記憶として浮かんできた感情は憧憬に限りなく近く、決定的に違った。
あれがきっと、私の初恋だろう、と遅すぎる気付きに自分でも少し苦笑する。
あの頃の私は恋の定義というものが分かっていなかったし、その感情を恋だと指摘してくれる人もいなかった。
今更それを伝えるのもなんだか照れるし、彼が私と話したいかすら分からない。
もう最後にみんなで集まったのは6年も前だし、彼と最後に話をしたのは4年前だったろうか。
「すみません、あそこの彼にカンパリオレンジを。私が渡した、なんて絶対言わないでね」
バーテンダーを呼び寄せて小声でそう伝えると、彼女はにこりと頷いた。
カンパリオレンジは彼には少し甘いかもしれないけれど、それも込められた意味がわからそうな彼へのヒントだ。
カンパリオレンジのカクテル言葉
初恋
-END-
冒頭、若干むりやり感あるかな、、笑
今回は安直なタイトルですが、一応ちゃんと意味はあるのでおっけいですかね!?
大人になったアーヤちゃん、想像するだけでなんだか素敵ですね、
アーヤちゃんの初恋はやっぱり若武君であってほしいです。みなさんはどうなんでしょう、。
このお話の最後、若武君はカクテルの意味に気づかないでしょうが、思いがけず気づいて差出人を探すもアーヤちゃんは既にバーを後にしていた──なんていうのも「The 大人」って感じでニヤニヤしちゃいます。
妄想が暴走しているのでこれにて終わりです☺