『桜が一片落ちる頃に』
作・名無しのKZ好き
『中庭に1本ある大きな桜の木には、一番最初に落ちる花弁をキャッチできると恋が叶うっていう言い伝えがあるんだって』
そう言ったのは確か、仲が良かった友達だった。
何年も前からあるらしいその噂のせいか、3月辺りから女子生徒は中庭にいる事が多い。
かく言う私もその1人で、立花を連れてベンチでお昼ご飯を食べている。
もちろん、ベンチのすぐ後ろには桜の木が立っている。
「本当にそんなの信じてるの?」
「ものは試しというか何というか……お守りと一緒だよ」
そう言ってたこさんウィンナーを口に放り込む。
立花は私よりかは地味だが可愛い顔立ちをしてるのに、そういう事には疎い。
もっとアンテナ張っておいた方がいいのに、と思う。
野球部の同小曰く、その初心っぽさがいいらしいが。
「にしても気が早くない?まだ2輪しか咲いてないのに」
「いつ落ちるか分からないの!故意に取ってもダメだしもしかしたら夜中とかに落ちるかもしれないから皆必死なんだよ」
足元に咲く蒲公英が風に揺れる度、上を向く。
どうやらまだ落ちてこないらしい。
「ツバサと付き合うにはもうこの桜に頼るしかないんだ…お願いだから落ちてきてくれ!」
「この調子じゃ春休み中に落ちるんじゃない?」
神社や寺でお祈りする時みたいに、両手を合わせる。
もう卒業式も終わってしまって、春休みは目前だった。
・
クラス替えを見ても気分は上がらない。
立花と噂のイケメン・悠飛と同じクラスになったこと、そしてそれよりまたツバサと同じクラスになったのが居た堪れなかった。
あの後結局終業式まで桜は落ちず、始業式の今日は勿論桜はカーペットを作っていた。
ただただ気まずいだけなら他クラスになった方がマシなのに。
憂鬱で携帯を見る気も起きずに黒板を眺めていると、後ろから声をかけられる。
「おはよ、佐田」
「おはよツバサ……ツバサ!?」
予想外の人物に肩が跳ねる。
相変わらず綺麗な顔がこちらを見下ろしていた。
「新しいクラスだし、片山もいるしさ。せっかくだしこれ、いるか?」
「え、ありがとう……何これ」
小さい袋に入っているのは桜の花弁だろう。
「バスケ部で持ち回りの中庭掃除の時に手に入れたやつ。多分初めに落ちたんじゃないかな」
他に落ちてなかったし。
そう言ったツバサは言葉の意味を理解してるのだろうか。
「またなんで私に」
「去年は少しやりすぎたかなって。悪かった」
そう言うと彼は教卓までまっすぐ歩いて行った。
プリントを手に取る時の手つきとか、座る時に隣の人に声をかけてる姿とか、そういったひとつひとつが、改めて格好よく見えた。
「脈アリ、なのか……?」
-Next Tasuku side-
えっと、2作目です、、
最後を見て頂けたらわかるように、こちらも1レス読み切りじゃないです、笑
あっでも、今回と次回のどちらか片方だけを読んでもわかるようにはしてます。絶対に読まなきゃ行けない続編っていうわけではなくて、sideだけを変えるっていうことです!
このお話は、美佐田です!
書き始めて早々、マイナーCPでごめんなさい笑
美佐田、結構いいと思うんですよ、わたし。
今回はマリンsideで、次回は翼sideです。
とりあえず、マリンちゃん、ツバサ呼びを急にタスクにしちゃえば、翼ちょっとはドキってなるんじゃないかしら!?って思ってます。わたしの考え安直すぎるかな笑
また感想などなど、お待ちしております!
KZ板、前にわたしがいた頃はすごく栄えてたのに、今はめちゃくちゃ過疎ってて悲しいです、、