星謡の詩人/少女
この世の果てでまた
夢が語られる
少女の名は セクサリス
「それは、喪われた記憶を詠う物語」
「偽典セクサリス」
遥か遠い昔 滅びた星々
その記憶はヒトの形を持ち
時と時の狭間 この世の果てまで
流れて堕ちた
仮象の魂 内なる声
自己を確立するための記憶
巡って、夢を見る
遠くずっと遠く
まだ見ぬ場所へ
無数に光る
物語の欠片を探しだすんだ
深い空の底のように 限りなく
蒼い記号の海
「全ての断片が揃ったら、この喪失感も消える?」
少女の夢から 記憶を詠みあげ
静かに紡いで 識る星音
時と時の狭間 彼方詠うのは
詩人ミルリーナ
砕け散る世界 滅びた星
儚いが故に美しい夢
揺蕩い、巡りゆく
蒼く今は蒼く
この世の果てで
魂の色
記憶から描き出していきたいんだ
夜の来ないこの場所で ゆっくりと
欠片集めて……
絶望も希望も
何も知らずにあらかじめ
喪い、透き通った存在
この世の果てで今
夢が廻りだす
失われた世界への追想
遠くずっと遠く
まだ見ぬ場所へ
無数に光る
物語の欠片を探しだすんだ
深い空の底のように 限りなく
蒼い記号の海
そっと目を閉じて
「果ての見えない夢の奔流。無限に連なる物語」
「それは、鳥篭から織り成す、終わりのための歌」
「それは、虚構で着飾った、どこまでも空虚な約束の欠片」
「記号はやがて全てを飲み込み、この新たな魂に沈むのだろう」
「なんのために生まれてきたの?なんのために死んでいったの?」
「その答えは、歌の中に」
「その答えは、幻想の果てに」
「さあ、お眠りなさい……セクサリス」
「ここから紡いでゆく、はじまりのための終焉」
「偽典セクサリス」
それなあに?