「 …寂しいよ 、 さぶろう 。 」
彼女は涙一つ流さず 、 ただただ 、 そう同じ台詞を吐いていく 。
私の肩に顔を埋めては首元に腕を回してぎゅっと 、 同じ力で俺を抱き締めては 、 何処にも行かないでと付け足した 。
「 何か 、 あったのか? 」
優しく頭を撫でながら私は問うてみる 。 どうせ又 、 よく分からない夢でも見たのだろうか 。
百が此の様な行動をするのは初めてではない 。 今迄に何度も起こした事は有るのだ 。
「 …又 、 三郎がどっか 、 行っちゃう夢…見た 」
前回は私が百の存在を忘れ 、 知らない女性と抱き合っていた…と言う 、 何とも阿呆らしい夢を見たらしい 。
だが百は 、 私に忘れられていたと言う事が迚恐かったのだそうだ 。
今回は目覚めると百が人混みに居て 、 私を探しても 、 何処を探しても 、居ないと言う此れ又よく分からない夢 。
それでも百はこう言うのだ 。
「 三郎は何時か私を置いてけぼりにするの 、 そして私を独りにして 、 絶望の淵に落とすの 。 」
そんな壮大なもんでもないだろう 。 なんて笑ってやれば百は 、 私に顔を向けて 、 苦痛に歪むような表情をした 。
「 私は…ッ、三郎だけ、なの…!!三郎がいなくなったら 、 如何やって生きていけばいいの…ッ!! 」
ぽろ 、 ぽろ 。 百の目元から少数の涙が出る 。
独りにしないで 、 そう弱く呟いた百は 、 私の胸に顔を埋めた 。
「 …御免 、 百 。 」
そう仕向けたのは 、私 なのに 。
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絶望の淵って程でもないだろうって
百ちゃんは人間不信 。 でも三郎だけは信じてる 。
何時も帰りの遅い三郎を家で待ち続けてる 。
虐待されてたし虐められてたーみたいな 。
どれもこれも三郎が百ちゃんを独占する為にやっただけのもの 。 クズ〜