第二話【枯草の町】
「ここからだと、バチリスビューが近いわね」
「まああそこは一番安全な町で有名だからな」
ナズナとティステースが古ぼけた地図を広げると
みたこともない言葉で、地名が記されていた。
しかし法則性があるので、頑張れば読めそうでもある。
「さっ!バチリスビューにいこうぜー!」
ティステースは輝の肩をガッと掴むと、そのまま肩組をした。
「ほんと、バカは元気ね」
ナズナもくすっと笑うと、バチリスビューへ向かった。
バチリスビューの入り口は、荒廃化しており
看板の木材も、足元の草さえも、すべての植物が枯れ果てていた。
「どういうことだこりゃあ!」
突然ティステースが大声で叫ぶ。
気が付けば、周りを大量の農民に囲まれていた
確かに、安全な村として有名なほど厳重な警備。
例え町に魔物が入ろうとしても、農民たちの鍬などでやられるだけだ。
「我が名はナズナ・トレーク、バルトリク帝国軍女騎士長である」
ナズナがぎろりと農民達を睨み付けると、農民たちはぶるっと身震いをする。
これが女性の纏う覇気というものなのだろうか、こちらも全身に鳥肌が立つ。
しばらくすると、農民達をくぐり抜け一人の少女が現れた。
「えっと…バチリスビューへようこそ…わたしは枯草ユミナです…」
ユミナと名乗る少女は、ぺこりとお辞儀をすると宿へ案内しようと、先頭に立つ。
まだ周囲の目が痛いが、しばらくすればそれにも慣れた。