甘く溶けていく。
とろり、と。
それは、私の心まで、
甘く溶かしていく。
怒りも、嫉妬も、悲しみも、
全部、全部。
この時ばかりは全て忘れる。
「___よく飽きないね」
コト、とカフェオレの入った
飲みかけのカップを梨亜は机におく。
「当たり前でしょ」
私は『それ』を手のひらで転がす。
四角くて、銀紙に包まれた、
甘い甘いキャラメル。
「だって」
私はもうひとつ、それを口に含み、
キャラメルが溶けていくのを
舌で感じながら答える。
「これは私が最も癒されるお菓子、
キャラメル____
及び『精神安定剤』だもの」