そしてある日、あの子が私の地雷を丁寧に踏み抜いていった。
わざわざ放課後の空き教室に私を呼んだ。帰りたいと心の中で叫んだ。今日の授業に分からなかったところがあったから家で勉強して、早く寝て朝走らなければいけないんだ。それに加えて妹と弟の面倒も見てやらなきゃいけない。話すだけでイライラするのに呼び出すとは何事だ。話すのを躊躇うな。長引かせるな。私ははやく帰らなければいけないのだ。
そしてあの子がゆっくり口を開いた。
「舞、最近どうしたの? 元気ないし、私を避けるし…ねえ、なんかあった?」
今更?
やっと口を開いたと思ったら今その話する?
私は1年以上前から努力してるのに、今更気づくの?1年前から避けてるのに、今更不思議に思ったの?
自分が元凶って、一切思わないの?
「ねえ舞、困ったことがあったら言って。 相談なら乗るよ?」
おまえに何を言うんだ、私が。おまえが憎くてたまらないだなんていうのか?お前自身に?そんな馬鹿みたいなことをしてたまるか。
「舞、ねえ舞、聞いてる?」
ああ聞いてる、そしてストレスをためてる。だからそれ以上喋るなよ、その声でわたしのことを呼ばないで。
「ねえ舞、悩みなら言って」
おまえなんかに言う悩みなどあるか、この野郎。
「ねえ、私たち親友でしょ」
何かが切れた気がした。
ぎりぎり保っていた何かが、その一言でようやく切れた。それは、思いやりとかきっとそんなかんじのものだと思う。
正直に、許せなかった。
私をこんなに傷つけておいてなにが親友だ。いつ私がおまえを親友だと言った。おまえのためにどれだけ傷ついたと思ってる。ふざけるな、ふざけるな、許せない、こいつなんて、こいつなんて。
死んじゃえ。
そして上述に戻る。