3.貧乏神の助け
宇宙side
その日は、午後からいきなり、勢いの強い雨が降ってきた。
天気予報は、大外れ。
一日中晴れ、ということだったので、傘は持ってきていない。
いつも鞄の奥にしまっている折りたたみ式の傘も、先日の雨以降入れていなかった。
クラスの皆も、傘は持って来ていないらしく、ざわざわと騒いでいた。
この雨は、10分程の雨宿りでは止まなそうである。
しょうがない、濡れて帰るしかないか。
どうせ榊原も、傘は持って来ていない。
いくら神だとしても、こんなことまで見通せはしないだろう。
「宇宙、帰んないの?」
榊原に話しかけられ、立ち上がろうとする。
しかし、濡れて帰るのにはやはり抵抗がある。
当たり前だ。
濡れて帰って風邪でも引いたら最悪。
「あ、もしかして傘忘れたの?ママさん言ってたよ、今日は雨が降るって。」
はぁぁ?
「何それ、私そんなの知らないんだけど。」
ムッとして言うと、榊原はあれっと不思議そうにした。
「あ、そうか、あん時宇宙は顔洗ってたもんね。知らない筈だよ。」
あ、そうですか。
「ま、心配しなくても大丈夫。傘二つ持って来てるから。」
........。
その時私は、榊原を本当に神だと思った。
しかも貧乏神なんかじゃない。
幸福をもたらしてくれる神。
と思ったのも束の間。
「じゃあお礼に、お小遣いママさんに前借りして貰って良い?」
はぁ?
だめだ、こいつはやっぱり貧乏神.....。
第三章(>>18-25)
next.4.貧乏神への恋